きょうのできごと

きょうのできごと スペシャル・エディション [DVD]

きょうのできごと スペシャル・エディション [DVD]

観て来ましたー。今までの失敗を踏まえて、あまり事前情報を仕入れないうちに、と思いまして。行定監督の映画は「GO」と「JUSTICE」しか観ていないんですが、世間の評判ほど私はハマれなかったっていうのもあって、実はそれほど期待してなかったんですね。それが良かったのか、予想を裏切って、とても面白かったです、ハイ。まあひとことで言えば「淡々とした映画」なんだけども、もっと重くて暗めかと思ってた。全然そんなことないのね!かなり笑えます。爆笑っていうんじゃなく、「クスクス」「ニヤニヤ」系ではありますが、セリフの一つ一つがなんとも言えず可笑しい。うーん、まあ人によって好みはあるでしょうが、私はこれ、好きだなあ。「ジョゼ」が好きな人なら、気に入るんじゃないかな。あれの笑いの部分(荒川良々とか金井晴樹とかヤンキー少年とか)だけを抽出したみたいな感じ、って言ったら乱暴か?でも実際やたら共通点多いんだよね。大阪弁、大学生、妻夫木聡池脇千鶴大倉孝二という出演者、古い家、動物園、ドライブ、トンネル、海…。全然ドラマチックでもなく、ヤマもオチもない話ですが、「ジョゼ」同様、「ああこんな奴いるいる」「学生時代ってこんなんだったよなあ」って、思わず頬が緩む感じ。

ここからはネタバレありなので、これから観る人は読まない方がいいかも。






それでは、キャスト一人ずつの感想を。

中沢(妻夫木聡)…一応トップクレジットで主役なのかな?でもこの中で一番特徴がなく、一番印象に残らない役だと思う。セリフや出番が多いわけでもないし。その点妻夫木ファンはイマイチって思うかも。でも妻夫木君、俺が俺がって変に出しゃばることなく、かと言って埋没しちゃうこともなく、絶妙に演じてたと思いますよ。私ら素人には「演技下手」っていうイメージなのに、制作者側の玄人ウケがいいのは、やっぱり「受け」の芝居がうまいからだろうね。ただ大阪弁は一番下手。中沢君は凄く男の子っぽい人だよね。素の妻夫木君とかなり近そう。サークルにこういう先輩がいたら、憧れちゃうだろうなあ…などと、己の年も省みず、女子大生気分になってしまいました。

真紀(田中麗奈)…関西の人にはどう聞こえるのかわからないけど、私は彼女の大阪弁に、かなりやられちゃいました。か、かわいい…!中沢とラブラブで凄く大事にされてるんだけど、いかんせん中沢は「古き良き男」なので、甘えん坊の真紀がかわいくてかわいくて、保護者気取りなんだよね。そういうワガママ聞いてくれる中沢が好きなのに、自分の知らない彼との思い出がたくさんあって、何でも対等に話せる幼馴染みのけいとに、つい嫉妬しちゃう。「若くてかわいい私」を自覚しながら、自分の魅力がそれしかない事もわかってて、自信が持てないのね。二十代前半の女の子って、こんな感じだよなあ。

けいと(伊藤歩)…イケメン好きで躊躇なく突進しては、玉砕してる子。酔っぱらいぷりが見事。まあ歩ちゃんだからかわいく見えるんであって、あれがブサイクだとほんとウザいと思いますが…。真紀と二人でキャーキャー言ってるシーンとか、演技とは思えないリアリティでした。一見明るくて何も考えてないようで、ほんとは寂しがり屋で弱いんだろうなあってのが、ほんのり垣間見える演技がお見事。

正道(柏原収史)…今回一番役得かもしれない。この映画で彼に惚れる女の子、続出じゃない?非常に出来た人です。ただあまりにもいい人過ぎて、途中でキレるんじゃないかとビクビクしちゃった。事故に遭って彼女と電話で話すシーンは、凄く良かったですね。こんなにいい人なのに、いくら誘っても彼女がつれなくて、せつない。でもなんか可笑しくもあって。「エースをねらえ!」の時はカツゼツが悪いなあと思ったけど、大阪弁もうまいし、何よりあのメガネ+無精ひげ+半纏+古い町屋住まいってのが、あまりにもハマってました。いかにも京都の大学院生って感じでピッタリ!

かわち(松尾敏伸)…「真珠夫人」の種彦さん。やっと顔がわかったわ。これがまたおいしい役で、美少年でモテるんだけど、異常に気が弱いヘタレという。彼女のちよにはいつも怒られっぱなしだし、けいとにしつこくつきまとわれても断れない。オドオドっぷりが最高です。顔がいいからって、必ずしもいい事ばかりあるわけじゃないんだよね…。でも男性から見たら、「けいとみたいなかわいい子に迫られて、あんな露骨に嫌そうにするなんて、信じられない!」って思うかな。

ちよ(池脇千鶴)…かわちの彼女。他の人との絡みシーンはナシ。大阪弁で毒舌吐きまくり、かなり「ジョゼ」とだぶってますな。かわいい顔してかわちをいじめまくる姿、堂に入った演技です。出番はさほど多くないけど、インパクトは強烈。最後の一言も効いたー。

西山(三浦誠己)…モテるかわちに嫉妬して、みっともなく暴れたりする困ったちゃん。まあ、ふてくされる気持ちはとても良くわかるけど、まだまだ精神的にお子ちゃまなのね。でもこの役者さん、初めて観たけど、普通にハンサムだと思いますよ。充分モテ系。「シンメトリー」がカワイイ。

坂本(石野敦士)…お笑いの人らしいけど、知りませんでした。演技的にはちゃんととけ込んでましたよ。終始みんなの輪には加わらず、傍観してる人。多分臆病なんだろうな。こういう奴もいるいる!

挟まれた男(大倉孝二)…最高ー。最初は全然関係ない話だと思っていたのに、まさか途中でああ絡んでくるとは!「ピンポン」で高校生役やったとはいえ、大倉さんが妻夫木君達と同級生なんて想像もできず、余計びっくりしました。

山田(山本太郎)…彼だけは苦言を呈す。若作りの役はもう無理あるって…。変なヅラ&衣装もなんか浮いてたし。

ああ、なんかまた無闇に長くなってしまった。それでは手短かに、私がウケたシーンベスト3で締めさせていただきましょう。

第三位!挟まれた男を見物していたジジイが抱いていたワンコ!無理矢理抱いてるのがかわいすぎて悶絶。
第二位!おでんをキャッチできなくて泣いてる大倉さん&鳩に怯える大倉さん。
第一位!真紀とけいとのハゲ談義。ヤバすぎるそんなセリフ!なんで松尾君が絶対ハゲで、妻夫木君は大丈夫なんだよ…。でも確かに、女の子同士でそういう話ってするよね。