「ジョゼと虎と魚たち」

ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]

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二回目行って来ました。初回は結構醒めた感じで観ていたりしたんですが(→一回目の感想)、なんだか後になってからじわじわとこみ上げるものがあって、こりゃ近くでやってるうちに、もう一回観ておくべきだろうと。渋谷では池脇ヲタと思われるオッサン(私も妻夫木ヲタのオバサンだわな)に挟まれてしまい、彼らの鼻息が荒くて、いまいち集中できなかったんですよねー。昨日はほどよくすいていたので、映画だけに没頭できました。買い忘れてたパンフもゲットできて良かった。

以下ネタバレありですので注意。

二回観ると、恒夫達が同棲し始め、旅行に行くところでは、もう別れの予兆がビシバシと出ているのがよくわかりました。恒夫の表情がずっと曇ってるのね。あとジョゼと近所の姉妹との会話。「なあ、お姉ちゃん、これ(乳母車)捨てんの?」「うん。」「何で?」「壊れたさかい。」「お兄ちゃんに直してもうたらええやん。」「もう直らへんのやて。」「ふーん…」これ、伏線になってたんですね。パンフには準備稿が丸々載っていて、カットになったシーンもあるようです。二人が初めて結ばれた後の、「怒ったの?」「怒ったんちゃう。想像してたんと全くちゃうかったから。」「悪い方に?いい方に?」「ええほうや。」「…よかったね。」というセリフは、原作でも印象的だったので、使って欲しかったなあ。あと恒夫が香苗と再会した後、ジョゼとのセックスで、足を上げてあげるのを忘れて(だと思う)、「うちの足が壊れてるの、忘れたんか?」と言われるシーンがあったみたいで、これってつまり、恒夫はあの時点で香苗と浮気してたって事なのかな。

前回観た時、濡れ場でもあまりに何も感じなくて、もしかして私ってば妻夫木君の事、飽きちゃったのかなあなんて思っていたんですけどね。昨日彼の笑顔を観ていて、突然「カバチタレ!」で一目惚れした時の事を思い出しました。そうだ、私がやられたのはこの笑顔だったんだ!って。その時私は日記に、「若いけど、お兄さんぽいというか父性的な雰囲気のする子」と書いたんだけど、その後色々ドラマとか観て、「妻夫木君てどっちかというと、守ってあげたいタイプじゃん。私の第一印象間違ってたわ。」とずっと思っていたのです。でもやっぱり彼の笑顔には、何でも受け止めてくれそうな包容力がある!一回り以上も年下なのに、なんだか甘えたくなるというか(キモくてすいません)。だからこそジョゼも心を開いたんだ。いや実際の性格はわからないですよ?でもあの笑顔は…反則。これは演技力とかの問題じゃなくて、天性の魅力なんですねきっと。脚本の渡辺あやさんはウォーターボーイズを観て、「この人はこの笑顔で、女の子を不幸にして行くのね。」と思ったらしい。さすが鋭いです。

色んなサイトでの感想読んで、「ジョゼは強い」って言ってる人が多かったんだけども、元から強いわけじゃないよね。強くならないと生きていけないだもん。強くないからこそ、恒夫と一緒にいると、反動でやたらワガママになってしまう。恒夫におんぶしてもらって、彼がその重さに耐えられなくなる事がわかっていても、甘える事を止められない。恒夫と別れて一人になった方が、ジョゼの精神状態は健康でいられるんじゃないでしょうか。ラストのジョゼ、全然不幸そうに見えなかったよ。別れる事って、何でもかんでもマイナスじゃないと思うな。

→コメンタリーの感想はこちらに。