#10「宿命・最終楽章前編」

ラストは「宿命」の発表コンサート。今西刑事が捜査会議で和賀の過去を語り、曲をバックに、ほとんどセリフもなく、延々と続く回想シーン…。やはりこのドラマは、小説というよりは映画の脚本を元にしてるんですね(小説ではアメリカ凱旋旅行へ旅立つ和賀が、空港で逮捕されてエンド)。恐らく制作側はこの有名なシーンがやりたいが為に、これをドラマ化したんでしょう。でもなあ、だったらやっぱり、連ドラってのは失敗だったよなあ。しかも他のドラマは9回で終わってるものも多いのに、これは11回あるんだよね。どうせ最後で全部チャラになっちゃうんだから、そんなに長々やる必要なかったような。あの回想シーン、長すぎ、ダラダラしすぎ、という人もいるでしょうが、私は今までの回に比べたら、かなり見応えあったと思うんですよ。せっかくあれだけのもの作ったんだから、余計な前置きはいらなかったよなあと。

ただ見応えはあったけど、やっぱりツッコミ所も満載で。まず冒頭のシーン。忙しい中居君と謙さんが揃って亀嵩ロケ。その割にはあっさり終わっちゃって、もしかしてあれしか撮る時間なかったとか?今西刑事、あそこまで追いかけて来たのに、「本浦秀夫だな。」「はい。」で終わりっすかー?あれが亀嵩である必要あったのかな。あの後二人一緒に、東京に帰ったんだろか。逮捕状がまだとは言え、随分甘いのね。あさみもいつの間にか釈放されて、コンサート来てるし。確か初回に、海岸で和賀とあさみが落ち合うみたいなシーンがあって、きっとこれは最終回に繋がるんだろうなと思ったんだけど、このままコンサート後に逮捕されたら、あれはどうなるんだろうなあ。

あと回想シーンですが、連ドラという設定同様、これも現代の話にしちゃったのが、一番無理があったような。あの事件があったのって80年ぐらいですよね?いくら田舎とは言え、急病人が出て救急車も呼ばない、農家なのに自家用車もない、リアカーで隣村まで運ぶなんてアリ?「北の国から」も同じ頃の話だけど、富良野でももうちょっとマシだったと思うんですが…。そして逃亡するにも、都会の人混みに紛れてしまった方が、普通は目立たないもんだけどね。そもそも千代吉は、何の為に逃げ続けてるの?映画ではハンセン氏病だから、行く先行く先で追い出されてしまって、仕方なく放浪してるわけですよね。あのシーンが泣けるのはそういう理由があればこそなのに、ただ親子が放浪してる絵ヅラだけ同じにしても、根本的に無実の病人と殺人犯じゃ、見る側の意識も全く変わってしまうんですが。その殺人を犯すまでに悲惨な差別があったというなら、その部分をもうちょっと丁寧に描いて欲しかったなあ。あと今西刑事が「この事件の裏には差別があったのです。」とか説明していたけども、これだけの大事件だったら、普通そういう背景まで報道されてないかな。他の刑事達が「初耳だ」みたいな顔してるのが、なんだかなあと。

ま、でも子役の子は、小さい頃の純君みたいでかわいかった。中居君には全く似てないけどね。原田さんとは親子というより、おじいちゃんと孫みたいだよなあ。お母さんはかとうかずこだったんだね。あまりのおばちゃんっぷりに、全くわかりませんでした。さて、来週は三木巡査との出会いからですね。原田さんの「わしゃ知らねえ〜」は聞けるのか?とりあえず楽しみに待ちましょう。