#11「完結編・宿命の再会」

砂の器 DVD-BOX

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先週の回想シーンはかなりお気に入りだったのですが、今週の前半は曲もぶつ切りだし、CMの入れ方なんかがちょっと雑な気がして、途中までイマイチかなあなんて思ってたんですよ。そりゃ別れのシーンはウルっと来たけど、SLはちょっとやりすぎじゃない?とか、原田芳雄はやっぱりお父さんじゃなくておじいちゃんだよー(38歳は無理がありすぎ)とか、私、子役には厳しいもんで、その目キョロキョロは中居君のモノマネかい!とか、豪雨の中なぜピアニカだけ持ってる?とか、中居君太りすぎ、とか、つい色々脳内ツッコミを入れてしまいまして。

しかしそんなツッコミも、ラストで全て吹っ飛んでしまいました。CMで中居君が「あなたが憎かった…」と言うシーンが流れていて、「うわあ、千代吉に会っちゃうのかよ!それって絶対蛇足!」と思っていたのに、あの「父ちゃーん!」と「格子越しの握手」で、完全にやられました。「秀夫だ…。秀夫の手だ…。」手が温かいっていう伏線が、こんなとこに活かされてたのか!

今まで散々退屈だのどうのと文句言って来たのに、このラスト二話(特にラストシーン)だけで、私にとっては記憶に残るドラマになりそうです。正直、小説は超えたと思う。もちろん連続ドラマとしてはかなり無理のあるストーリーになってしまって、色んな登場人物や伏線も放ったらかしになってしまったけど、そもそも私はあさみとか劇団響のサイドストーリーには全く興味がなく、和賀の「宿命」をどう描くかが見たかったので、思い切って色んなものを切り捨てた潔いラストには、拍手を送りたいです。うーん、やっぱ私は、フジよりTBSのドラマが好きだなあ。視聴率も世間の評判も、「白い巨塔」の方が全然上だと思いますが、私はこっちの方が好き。作り手の作品に対する愛情の度合いが、濃い気がする。

しかしこうなると、この全話通してのバランスの悪さ、整合性のなさは惜しい。第一話での和賀とあさみのシーンがラストに繋がらなかったのは、当初の予定が狂ったって事なのかな。テレビドラマって視聴率やら出演者の都合やらで、なかなか計画通りのものが作れないってのがネックですよね。できればもう一度、四時間ぐらいで最初から作り直して欲しいぐらいです。正直和賀役は他の役者さんで見たかったってのもありますが、中居君はピアノの弾き真似(?)はうまかったですよね。これは感心しました。千代吉は映画の加藤嘉のイメージが強すぎて、原田芳雄じゃ精力的すぎる!と思ったんですが、30人殺しの犯人なら、彼で適役だったかもね。そして何と言ってもこのドラマは、渡辺謙をキャスティングできたことが一番大きかったのでは。彼がいなかったら、あの退屈な中盤部分はどれだけ悲惨な事になっていたか…。最終回はなんだか説明要員みたいになっちゃいましたが、なんとかドラマの高級感を維持し続ける事ができたのは、彼の演技のおかげだと思います。

「とうちゃーーん!!」その1


「とうちゃーーん!!」その2



「宿命とは
この世に生まれてきたこと
生きているということである」
このテロップ出しも、映画リスペクトって事でいいのかな。