入院日記その2

その1の続きです。

3/4(木)入院四日目
心電図、エアマッサージャーが外され、起きあがってみるよう言われる。腹筋が使えないので、結構つらい。体を起こすと、やはりちょっと痛いかな。しばらく座って慣らしたとこで、「じゃあ歩いて病室に帰りましょう」と。点滴とカルーテルつけたまま、そろそろと歩いてみる。おお、一歩ごとに結構ズンズン来るぞ。でもこれなら、自分でトイレには行けそう。カルーテルが不快で仕方なかったので、抜いてもらった。これも痛いんじゃないかと不安だったんだけど、全然大丈夫でした。
木曜は教授総回診の日。隣の真紀子は化粧までして張り切ってる。ちゃんと「これから総回診です。」ってアナウンスあったよ。いきなり先生が4、5人どどっとやって来て、4人がかりで4つの傷のガーゼをはずし、消毒し、凄い勢いでまたガーゼを貼って、「大丈夫でしょう」と去って行きました。私の担当の魔太郎先生は、今日は外来担当日なのでいなかった。午後からは隣に元入院仲間のおじさん・おばさんが来て、三時間ぐらい、どの先生が男前だとか、あの患者(ジジイ)はケチでいけ好かないとか、大声でしゃべりまくっていた。あのお、こっちは昨日手術したばかりなんですけどね…。夜はもちろん、「エースをねらえ!」と「白い巨塔」を見る。ほんとは9時消灯だけど、皆11時ぐらいまではTVつけてる様子。

3/5(金)入院五日目
物凄い勢いで痛みが薄れていく。驚くべき回復力。起きあがったり、サイドテーブルの物を取ったりするのも、だんだん楽にできるようになる。看護師さんになるべく歩くようにと言われたので、1Fの売店まで行ってみたり。まだ歩くとちょっと響くかな。体は蒸しタオルで拭けるけど、シャンプーしたい!看護師さんに聞いたら、お風呂の隣にシャワー室があって、シャンプー台もあるとの事。早速明日使う事にする。隣の真紀子、昨日辺りから抗癌剤の投与を始めたらしく、食べ物も飲み物も全く摂れない様子。昼間は割と元気なんだけど、一晩中吐いたりトイレ行ったりの繰り返し。つらそう。「ブラックジャックによろしく」を思い出す。

3/6(土)入院六日目
午前中シャンプーしてすっきり。痛みも更に引いてきた。なんと、同室の真紀子以外の二人が、突然退院。いきなり二人きりになってしまった。もう一人別室の癌仲間(こっちは40代かな?若い)で、何かっつーとうちの部屋に来て喋ってるうるさい人がいるんだけど、今日先生から家族とともに説明があったらしく、かなり転移してしまってると告知されたとか…。いつもめちゃくちゃ明るい彼女が、カーテン越しに、泣きながら真紀子に報告してる声が筒抜け。「大丈夫だよっ!しっかりして!」とお互い慰め合ってる。なんだか身の置き場がない…。物音立てるのもはばかれる感じ。かと言って、「大変ですねー」なんて話に入っていくわけにもいかないし。
午後、会社の先輩と後輩が来てくれた。病室だとゆっくり話せないので、病院内の喫茶室へ。久しぶりにたくさん話して、いい気分転換になったけど、ちょっと無理して疲れた。真紀子と二人きりだと、どうも気まずい。夜、洗面台でコンタクトをはずしていたら、背後に気配を感じ、振り向いたら魔太郎先生が立っていた。「どうですか?」「あ、もう全然痛くありません!」「そうですか、じゃお大事に。」と傷も見ずに、やたらニヤニヤしながら去ってった。あの先生の笑顔って初めて見た…。もう一刻も早く退院したかったのに、明日は日曜で会計が休みなので、無理との事。がっくし。

3/7(日)入院七日目
もうほんと元気すぎるぐらい元気なのに、なぜ私はここにいるんだろう…。病室にはなんか居づらくて、やたらと病院内をうろついたり。昼寝しようかとも思ったけど、夜眠れなくなりそうで我慢した。朝起きてメールチェックしようとしたら、なぜか携帯がネットに繋がらない。お昼近くになっても繋がらない。真紀子がいない隙に電話をかけてみて、やっと原因がわかった。「この電話はお客様の都合により…」ひえー!止められてる!実は1月にauに変えたんだけど、その1月分の料金が、銀行引き落としが間に合わないという事で、振込用紙が来てたのね。それを放置してたのだ。よりによって、こんな時に止めなくても…。早速家に電話して、すぐコンビニで振り込んでもらうよう頼むと、30分後ぐらいには復活しました。やっぱ私、ネットがないと生きていけない…。携帯だと見られるサイトも限られてるし、早く家に帰りたいよう。食事も普通に食べられたのは、入院した最初の二日ぐらい。味付けが毎回同じなので、飽きてしまって喉を通りません。

3/8(月)入院八日目
うぉっしゃあ!!ようやく退院日。朝早くから張り切って帰り支度。でも10時過ぎないと請求書が来ないので、時間を持て余す。こないだ会社の子にもらったお花がまだ綺麗なので、真紀子に「よかったら」と渡してきた。多分私がいなくなったら、散々悪口言うんだろうなあ。うう。会計済ませて、お昼過ぎに家に到着。うわ、なんか寒い!病院内は暑いぐらいだったので、温度差がこたえる。チャーリーに忘れられてたらどうしよう…と心配だったんですが、すぐ飛びついてきて、その後30分ぐらい顔を舐められました。そして早速パソコンの電源を入れ、久しぶりにネット満喫。MTにSPAMコメントがたくさん来てて、大変な事になってました。

その後…
最後の方はとにかく「もう元気なのに!」と思っていたのですが、周りが病人だらけなのでそう見えただけだったみたいです。つーか入院疲れ?真紀子に気使いまくりで、夜もあまり眠れなかったので、家に帰ってから2、3日は、やたら眠くてずっと寝てました。ほんとはもっと遊びに行ったりしたかったけど、ダラダラしてるうちに休み終わっちゃった。退院して三日後に外来で診察受けて、もうお風呂にも入っていいし、これで全部終了、と言われました。簡単な手術だとは聞いていたけど、あまりにもあっさり終わっちゃって、なんだか拍子抜け。一番大きいおへその傷は、ちょっと残ってしまうかな?って感じだけど、それ以外のはほんとにかすり傷みたいなもんです。結局大したことなく済んだんで、今となってはいい経験させてもらったかなと思ってます。以上、人生初の入院体験記でした。お粗末さま。