#28「そして池田屋へ」

普段全然NHKを見ない私なんですが、さすがに池田屋の宣伝っぷりは凄かったですね。できれば新鮮な気持ちで見たかったので、話題になってた隊士別のCMなんかは、極力目に触れないようにしてました。それなのに、土曜スタパったら…。石黒さんがゲストだったんで、つい油断してました。桂小五郎が難を逃れる理由が捨介だって、思いきりネタバレしやがってえ!うーん、やられた。しかしガイドブックとか読むと、捨介って結構重要人物みたいですね。これからもターニングポイントとなる事件には、必ず関わってくるとか。近藤さんの最期に一緒にいるのは、他の誰でもない、捨介かも…(あくまでも私の妄想ですよこれ)。

って今回の話に戻りましょう。まずメインの池田屋シーン。NHKが総力賭けただけあって、凄く良かったと思いますよー。私はチャンバラ詳しくないので、あくまでも素人の感想ですけど、画面の手前で斬り合いしていて、その後ろでもやっているっていう、奥行きのある演出には感心しました。画面が暗くていまいち誰が誰かわかりづらかったけども、これも実際ライトが煌々と点いてるなんて、あり得ないわけで。今回一番かっこよかったのは近藤さんかな。斬るだけじゃなく、結構足で蹴ったりもするんですねえ。チャンバラだけじゃなく、平助を自分の組に入れてやったり、谷昌武君を斬り合いに参加させず、伝達係にさせる気遣いも素敵。一応各隊士それぞれに見せ場があって、池田屋お約束の場面もきちんと取り入れてあって、それでいてリアリティも追求してて、見応えありました。

そんな「お約束の場面」の一つ、総司の喀血シーン。皆さんおっしゃる通り、あのCGは一体?って感じですけども、悲しかったー。無性に悲しくなっちゃいました。これから先は、もう床に伏せてる事が多くなっちゃうんですよね?もうあの元気いっぱいの総司には会えないのかと、今更ながらに気づいて涙…。だったら最後、もっと殺陣の見せ場を作ってあげて欲しかったな。あれって竜也君の力量不足というより、殺陣師の振り付け(っていうんでしょうか)次第じゃないのかなあ?永倉と左之介に、「みんなには言わないで。お願いだから。」っていうこのセリフもツボ!泣きながら萌え!でも内緒にしたのに、土方は気づいちゃったみたいですけどね…。

「歴史的事件と言っても、案外当事者はのんびりしてたりするものではないか」みたいな事を書いてた三谷さん、やはりへそ曲がりらしく、きっちり笑いのシーンも入れてます。「ヨイヨイヨイ」とか「ヤリイカ」とか「ドンドコドン夢の共演」とか、組分けを考えるとこのやりとり(名言「トシが拗ねるから」)とかね。あと一軒一軒旅館を当たって、裸の子供が出てきたり、河合さんが「たまんねえなあ〜」なんてぼやいてみせたり、緊張の中にも緩和が。そうそう、まだ登場間もないのにすっかりキャラ立ちしてる観柳斎、図々しくていけ好かないけど、意外と使える奴なのね。池田屋でもちゃんとチャンバラしてたような(見間違いかな?)。棒読みブラザースの浅野薫君は、山崎烝より全然出番が多いぞ。

今回長州勢の中に、大分前からチョコチョコ登場してた望月亀弥太がいたってのが、憎いですよね。「敵じゃいか!敵じゃいか!」ですっかり憎めないキャラとして、視聴者に親近感持たせておいて、この仕打ち。これじゃ「新選組勝った!めでたしめでたし!」って単純には喜べないもん。スカッとしないもん。人が斬られるたび、こんなにいちいち後味が悪い時代劇って初めてです。私たちは過ぎ去った事として客観的に見られるから、龍馬のように「どいつもこいつも、みんな馬鹿じゃき。」って思えるけど、実際あの中に巻き込まれてる身としては、みんな必死なんだよね。それがまた悲しくて、余計彼らが美しく見えるんだろうなあ。