#31「江戸へ帰る」

今週の感想の前に、金曜日に更新された『新選組!』withほぼ日テレビガイドについて。三谷さんからメールが来たそうですよ。相変わらずマメですね。第五話を是非見てくれと書いてあったそうです。この回は、「多摩編では、一番作家の持ち味が出ていて、一番大河ドラマっぽくなくて、一番完成度が高くて、一番評判の悪かった回です。」と。私が多摩編で一番好きなのがこの「婚礼の日に」だったんで、やっぱりね!と嬉しくなりました。登場人物も多くて、その後の伏線ぽいものもたくさんあるんですよね。山南さんの受付デビューも確かこの回かと。しかーし!私は愚かにも録画を消してしまった為、今は見る事ができません…。で、仕方なく唯一残されている第一話の録画を、七ヶ月ぶりに見てみたんですよ。慎吾ちゃんが痩せてるとか、土方がまだ「かっちゃんの金魚の糞」みたいで、今より近藤が偉そうに見えるとか、色々発見があったんですけど、一番思ったのが、「そういや最初の頃はロケがあったんだなあ」という事。最近はほんとにセットばっかりですよね。お金の問題っていうより、出演者のスケジュール調整が難しいのかなあ。

ってまた前置きが長くなりましたが、三十一話です。「婚礼の日に」同様、登場人物がかなり多い回でしたが、先週に続きかなり良かったと思います。まとまらないので、またしてもキャスト別で。

近藤勇…衝撃事実発覚!「(総司は)誰よりも大切な人です。」って!いや、実の弟みたいに思ってるのはわかるんだけど、誰よりもって。つねちゃんは?たまちゃんは?何よりこれ、トシが聞いたら拗ねるよ!(だってその頃京都では…)良順先生に、「あなたの大事な人を救えるのは、西洋の知識です。」と言われてしまうところ、せつなかった。

土方歳三…先週は一方的に「土方オニ!山南さんかわいそう!」と思った視聴者も多かっただろうけど、今週見て彼の苦しみや悲しみが伝わったんじゃないかな。特に最後の「奴を殺したのは俺とお前だ!」というセリフ、別に山南さんの事が嫌いな訳じゃなくて、むしろ一緒にやって行きたいのに、何でわかってくれないんだよ!っていうジレンマがよく表れてたと思います。「私は山南さんに言われた通りにしただけ」という葛山に、「何の覚悟も信念もなく、局長への謀反に荷担するような者は、生きるに値せん!」と言うとこの山本君はしびれました。このドラマだと結構ほのぼのしてるんでつい忘れがちだけど、建白書を出すなんて、それなりの覚悟を持ってする事なんですよね。ここでなあなあにしてしまったら、他の隊士への示しもつかないし。

沖田総司…衝撃事実発覚その2。「その店(浮舟)なら芹沢さんと行った事あります。」って!えーっ?お梅さんが初めてじゃなかったの?いや、あれが初めてじゃないと話が成り立たないから、きっと店には行ったけど酒だけ飲んで帰って来たんだ…。そうに違いない…。おすずさんに「売られてきたんだ。」と、またしてもオブラートに包まない発言あり。

斉藤一…この人が一番謎だよなー。鴨は江戸から逃げる時世話になっただけで、あれだけ「恩がある」つってたのに、だったら山南さんにだってもっと恩あるだろう。みんながみんな悩んでちゃ話が進まないので、一人ぐらい冷血キャラも必要って事なのかな。

すず(明里)…実はスタパの見学レポを読んでいて、もっと豪快で男っぽいキャラだと思ってたんですよ。予想よりかわいらしくて、砂羽さん、堺山南とほんと息ぴったり。「暗くもできますよ。」の言い方絶妙です。

葛山武八郎…いやー、最初平畠が出ると聞いた時は、まさかこんなに大きい役だとは思いませんでした。今回なんてぐっさんよりずっと出番多いし。かなり熱演だったと思います。ヘタレな切腹シーンが、かえってリアリティあって泣けました。

松平上総介…きゃー!久しぶり!相変わらずキャラ濃すぎ。そういや講武所の指導を断られた時、近藤さんと平助で行ったんだよね。あの時なんで平助なんだろと思ったんだけど、まさか今回を見越しての伏線?

伊東大蔵…お久しぶりです。今後はこの人が(近藤・土方にとっての)敵役みたいになってくんでしょうね。クールなだけじゃなく、ちょっと抜けてたり、お茶目なとこも見たいなあ。それじゃ山南さんになっちゃうか。しっかしハンサム!土方・山南といい、普段の髪型や服装が微妙だったりする方が、時代劇だといい男に見えるのかしら…(問題発言)。

藤堂平助池田屋以降、人が変わってしまったような平助。でも別にスパイってわけじゃないよね?まだ。あれはとまどってる顔だよね?

みつ…「平助さん、顔が長くなったみたい。」そういえば、この姉にしてあの弟ありだった。

坂本龍馬おりょうさんとのいちゃつきっぷりは微笑ましい。でもさあ、山南さんにあんな事言わないでよ〜。なんかあれで決定的打撃与えられちゃった気がするんだけど。龍馬に「名ばかりの総長です。」なんて言ってる山南さんが痛々しくて…。

山南敬助…もう、何から語っていいやら。今週はかなり、「山南さんのダメなとこ」がたくさん出ちゃってた気がします。事なかれ主義で思いきりが悪くて甘ちゃんで…。それは「優しい」って事なんだろうけど、なんだか今の山南さんは、いくじなしに見えてしまう。そしてそんな自分の不甲斐なさを、一番よく知ってるのも山南さんなんだろうね。堺さんがスタパで「山南は凡人なんです。」と言っていて、その時は「そうかあ?秀才なのに。」と思ったんだけど、その意味がわかって来たかも。「京都では一緒に飲む人がいない」山南さんが、ちょっと頭の足りないおすずさんのとこへ行っちゃうのも、彼女といれば、今やグラグラの自尊心を保てるからじゃないかと…。そもそも近藤さんの事も、最初はちょっと下に見ていて、まっすぐに「山南さんは凄いなあ」と認めてくれたからこそ、試衛館に入ったのでは?その近藤達も、みんなどんどん自分を追い越して行く…。なんか貶しちゃってますかね?ファンの人むかついたらすいません。でも私、だからこそ山南さんの気持ちが凄くわかるし、めちゃくちゃ感情移入できちゃうんですよ。「ああ、もう、逃げないでえ〜!立ち向かってえ〜!」と思いつつ、自分だったらやっぱり逃げちゃうかもな、と。山南さん切腹って事で、土方達が一方的に悪者に見えちゃうじゃ?と危惧してたんですが、こう来たか、という感じです。どちらがいい悪い、じゃなく、みんな強いとこも弱いとこもあるんですよね。三谷さんのそういう人間の描き方もいいし、堺さんがそれを見事に演じてるなあと、改めて感心しました。