38話追記

ちょっとこないだのエントリ(あ、後から画像追加してます)は端折りすぎたんで、付け足しです。今回はほんと単独のドラマとして、凄く完成度の高い出来だと思うのですが、どうも一つだけ引っかかってる事があって。今まで法度によって切腹した何人かと比べて、河合はそこまでの経緯に一番無理があったと思うんですよ。今までの切腹は、土方か本人か、どっちかが強く押し切ってしまったってのがあるけど、今回はほんとに誰も望んでないんですよね。途中から(恐らくみんなにバレてしまってから)は、確かに「山南さんの死を無駄にしない為」に土方がああせざるを得ないってのはわかる。でももっと前に、いくらでも打つ手はあったんじゃないのかな。あそこまで悔やむなら、なんでもっとうまくやらない?土方らしくない。

三谷さんは一貫して「ヒーローだって人間だ」っていうのを描いてて、確かに今までも、散々近藤が無能(に見え)過ぎるとか、沖田が全然天才っぽくないとか言われてたわけですけど、私は結構その辺は許容範囲だったんですよね。で、この土方も女好きとか口が悪いとかあるけど、何より頭の回転が早くて、作戦を練るのが上手で、参謀として抜群に才能があるっていうイメージがあって。例えば前回松原がノロケ話をしているとこに、「調べさせてもらったぜ。」と斬り込んで行くあたりとかね。それが今回の事件に関しては、ちょっと対応がお粗末すぎるんじゃないかと…。もちろん彼のつらい心情は凄くわかります。わかるんだけど、あんなんじゃ「土方=有能」っていう大前提が崩れちゃう気がして。

新見や葛山の時のように、土方が積極的に切腹に追いやる、という話ならわかるんですけどね。うーん、あの柱ガンガンが余計だったのかなあ。彼らも内心苦しんでいるんだっていう描写は、加減が難しいですね。実はみんないい人なんですよ、ってしちゃったら、「じゃあ切腹させなきゃいいじゃん」てなっちゃうもん(実際一緒に見てた母は、「何で切腹しなきゃいけないの?」と最後まで理解できてなかった)。こちらの「新選組血風録」の感想(水川青話さん)の、『「新選組!」ではこれまで今一つ伝わってこない、そもそも士道とはなんで不覚悟とはなんで、法度に背くのがなんでそんな死に値するほどの重大事なのか──』っていう部分、私も気になってます。もちろん「新選組!」ならではのいい部分もそれ以上にたくさんあって、だからこそ毎週楽しみに見てるんだけど、大好きなゆえに、一点の曇りも許せない、みたいなね。三谷さんもこの辺のつじつまを合わせるのに、一番苦労してそうな気がする。

話を戻して。今回土方がちょっと仕事ができない風に見えてしまってショックを受けた私は、彼の有能さを示すシーンを思い出そうと、記憶の糸を辿ったのです。そこで浮かんできたのが、中山道での宿の割り振りの話。あれはマジでかっこ良かったよなー…ってハッ!あれは13話!ミタニンが糸井さんに「見てすぐ忘れろ」と言った回では!つまりあれよ、三谷さんも今回の土方には満足してなくて、「こいつほんとは出来る奴なんですよ。」って事を言いたかったのよ!

………120%違うな…。

最後にお断りしておきますが、今回私がウダウダ言ってるのは、あくまでも大河ドラマ新選組!」38話における土方の、脚本と演出についての話ですよ。史実の土方さんとか、山本耕史君を批判しているわけではありません。つーかこれだけ長々書いておいて、自分でも何が言いたいかよくわかんなくなってきたよ。