映画「新選組」(1969)

新選組 [DVD]

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昨日のオリジナリティ溢れすぎの「燃えよ剣」とは打って変わって、鴨のキャンプファイヤーから近藤斬首まで、主な出来事をきちんと押さえた、「新選組ダイジェスト版」みたいな映画でした。かなり駆け足とはいえ、大河と同じ話がたくさんあり、俳優さんも知ってる顔が多かったので、結構引き込まれて見てしまいました。カラーだし、昨日の作品から三年しか経ってないとは思えないですね。

三船プロ制作で、主演の近藤勇はもちろん三船敏郎。世界のミフネと慎吾ちゃんを比べたら気の毒だけど、まあ当時49歳だしね…。そりゃ貫禄もあるさ。ただこの映画が近藤主役で近藤視点で進むってのもあって、かなり「新選組!」と近いものを感じました。何と言っても鴨が三國連太郎だもの。佐藤浩市は「今までにない、弱さや人間味を感じさせる鴨」と言われていたけど、父鴨がモデルだったんでしょうか。表情やしぐさが似てるのはもちろん、お梅さん(鵜飼教授夫人)に酒を口移しで飲ませたり、宴席で酔って暴れ出し、近藤が踊ってその場を収めたり、「同じじゃん!」てなシーンがたくさん。

最初からやけに河合耆三郎中村嘉葎雄)の扱いがいいなあと思ったら、河合切腹がかなりクローズアップされてましたね。山南さん(中村梅之助。小太り…)が介錯失敗してるし、それが原因で脱走するし!そして大河とこの映画の最大の違いは、河合より全然目立たない土方歳三ですかね。しかも小林桂樹!色男の土方が小林桂樹って!あんなブルドッグみたいな土方、いやだよう…。ついでに総司(北大路欣也)の月代の細さも、いやだよう…。罰ゲームで真ん中だけバリカンで剃られた人みたいだよう。藤原総司は散々月代が似合わないと(脚本上でまで)言われてたけど、やっぱあのヅラが似合う人って、そうそういないんでないの?総司と言えば、大河では「あと五年元気で居られたら」と言ってましたが、北大路総司は余命二年と言われて、「二年も生きられるんですか!」と喜んでましたね。今までの総司って、皆こんなに達観してたんでしょうか。でももがき苦しむ藤原総司、私は好きだなあ。

映画のいい点は、役者に重厚感があること。殺陣に迫力があること。ロケが多く、季節感が自然に出ていたり、隊士が集合している場面など、新選組の規模の大きさがわかりやすいこと。斬るとちゃんと血が噴き出すこと(出過ぎな気もするが)。…こんなもんかなあ。対して大河のいい点は、史実に忠実であること。未だに勘違いしたマスコミがバッシングしてますが、とりあえず映画二本見た限りでは、大河が一番史実通りなのは間違いないでしょう。役者の年齢が実際と近いというのも、それに含まれるかもしれません。そして何と言っても、脇役にいたるまで、全ての登場人物のキャラが立っていること。映画はオールスター総出演でとても豪華だけど、多分「あ、三船だ。」「で、あの池内淳子のセリフがさ。」「田村高廣かっこいいなあ。」みたいな見方になっちゃうと思うのね。でも「新選組!」は、SMAP香取慎吾でさえ、レビューを書くときにも「慎吾ちゃん」ではなく、自然に「局長」になってしまう。映画は映画で、とても良くできた作品だと思ったけども、逆に「新選組!」の素晴らしさも再確認しましたね。

はあ…。しかし、まだ大河では放送してない分は、端折ってるとはいえ見るのつらかったなあ。流山での近藤と土方の別れは、香取&山本に脳内変換してしまい、マジで泣いちゃいました。斬首の場面も…ううう。見事に首飛んでましたなあ。ドリフみたいだった。泣けたけど。そういやあの白髪野郎(萬屋錦之介)の役を、古田新太がやるんだよね?うーむ。それはちょっと楽しみかも。