ここらで一度、「新選組!」を振り返る

いよいよ「新選組!」も残り少なくなって来ました。まだこれからクライマックスが残ってますけど、ひとまずここで、このドラマについて回想してみたいと思います。カテゴリの「新選組!」を見ていただければわかるように、今のところ、私は全回かかさず視聴してます。大河ドラマを一年通して見るなんて、もちろん初めて。きっかけは、やはり三谷脚本だということですね。若手イケメン俳優がたくさん出演してますが、特別「この人のドラマは絶対見る!」ってほどお気に入りの人はいなかったんですよね。どちらかと言うと、当初は白井晃さんとか小日向さんとかを楽しみにしてました。あと毎週のように書いてますが、新選組自体の事は、近藤土方沖田の名前くらいで、何をした人達なのかも全く知りませんでした。

そんなこんなで見始めた大河、個人的にここ数年三谷ドラマでヒットがなかったのに、これは時代劇って事もあるせいか、とても新鮮で面白くて。三谷さんの事だから、絶対後々に過去の伏線がたくさん出てくるぞ、と思い、買ったばかりのHDDレコーダーに毎週録画してました。みんな「最初の頃はつまらなかったけど、だんだん面白くなって来た。」って言うけど、私は多摩編はかなり好きだったんですよ。それが途中からだんだん「うーん…」となって来て…。時期的には、京都へ行くぞ!と決まる辺りから10話くらいですかねえ。わかりやすく言うと、ちょうど清河さんが登場していた時期かな(白井さんは好きなのに!)。この頃は、正直レビューもあまり気乗りしてなかったですね。話がなかなか進まないってのと、創作が多かった初期から、史実に乗っ取った歴史話が多くなって来て、私には逆に退屈で。そしてHDDがいっぱいになってしまったので、アホな私は一話だけ残して、録画を全部消してしまったのでした。あーほんとアホ!

で、あまりにも史実を知らなさすぎるので、ようやくこの頃司馬遼太郎を読んだり、ネットで新選組の歴史をおおざっぱに調べたりするようになりました。今思うと、もっと早く読んでおくんだった。三谷さんもある意味史実を知ってる人向けに書いてるので、絶対基本的な出来事くらいは覚えておいた方が楽しめますね。そのせいもあってか、20話の「鴨を酔わすな」辺りからかなあ。急にハマり出したんですよ。ちょうど斉藤のわんこっぷりとか、山南さんの天然っぷりとか、容保様の棒…とか、それぞれが「よ、待ってました!」って感じで、いい具合にキャラ立って来たし。あと多摩時代にはいまいち目立たなかった総司が、この頃から凄く気になるようになりましたね。鴨とお梅さんに翻弄される藤原竜也の演技から、目が離せなくなって来て。新選組メンバーの他のお仕事(バラエティとか)をチェックしたり、他の感想サイトさんをたくさん見るようになって、ますますハマって行きました。そしてスタパの見学レポなんかにも手を出し始め、先のネタバレを知ってしまい、あまりの面白さに期待が高まり、更にズブズブと。

それまではあくまでも、「週に何本か見てるドラマのうちの一本」だったんですけど、もうそこからは日曜日が特別なものになって来ました。またこの辺りから、前半の伏線がどんどん畳まれ始め、毎回のように「うわー、三谷さんそう来るか!」と悶絶するハメに。で、山南さんが一番お気に入りキャラだったこともあり、自分の中でやはり一つの山場が「友の死」で、あまりに盛り上がりすぎてその後失速しちゃうんじゃないか、って心配だったんですけど、逆にあそこまで突き抜けたものを見せられると、何の未練も残りませんでしたね。次の「寺田屋大騒動」で、更に綺麗さっぱり、山南さんを成仏させてあげる事ができました。まんまと三谷さんの作戦にハマったわけです。そしてその後も毎回「傑作だ!」と叫びつつ、今に続く。

最初の頃はあんなにのんびりしてたのに、ここのところの駆け足っぷり、濃密っぷりにはクラクラしますが、これも計算なのかな。でもこんなにハマれるのは、絶対一年間見てきたからこそですよね。何よりこの一年での香取近藤の変わりようと言ったら!外見(体重)も演技も雰囲気も、ある意味ドキュメンタリーを見ているようで、たった一年でこれだけ変わる役者さんて、私は初めて見たような気がします。藤原総司も全然違うけど、こちらは技巧派というか、ちゃんと計算された演技という感じ。慎吾ちゃんは、ほんとにそのまんまなんだよね。三谷さんや小林隆さんが言う、「セリフに嘘がない」っていうのが、最近だんだんわかって来た気がします。最初の頃は山本土方や他の役者さんばかりが目立って、「近藤いらないんじゃないの?」なんて言われてたけども、ここに来てやっぱりこのドラマの主役は近藤勇なんだなあと。なので続編希望されてる方が多いようですが、私としては、やはり近藤斬首でこのドラマは終わり、がいいのかなと今は思ってます。また最後まで見たら、気が変わるかもしれませんけどね。