#43「決戦、油小路」

ふーむ。私、会社でもしょっちゅう感じるんですけど、男の人にとって、「上の人に認められたい」という欲求は、これほど強固なものなんですね。自分を売り込むチャンスで岩倉卿にないがしろにされ、ボロボロになる伊東さん、近藤さんに認められたい周平、「なら俺だって!」と意地になって暴走する鍬次郎、ずっとお兄ちゃん達に「大人として認められたい」ともがいていた総司。そして名前すら覚えてくれない伊東先生を(ある意味)捨て、自分を一人の人間として見てくれる、近藤さんの試衛館に入門した平助。また御陵衛士として伊東組に戻るが、気がかりなのは先生が自分を本当に信用してくれているのか?という事。加納さんの「先生はお前が新選組と敵になるその前に、昔の仲間に会わせてくれたのだ。」という言葉で伊東の思いやりを知り、平助の覚悟は決まったようでした。

なんかさ、ある意味エゴイスティックかなと思うんですよ。「認めてよ?認めてくれなきゃ、離れちゃうよ。」みたいな逆ギレっぽい感じもして。結局龍馬くらいが例外で、あとの人は国がどう、世界がどう、じゃなくて、自分と直属の上司との関係だけが重要なんじゃないの?って思っちゃう。ただ一旦認めてもらったら、その人の為に命も惜しまないっていう思いの強さがね、なんか凄いなあと。私には想像つかない世界なんですよ。でもこういうのって、男性にはグッと来るものがあるんでしょうね。三谷さんも男性だし。あ、土方の「とにかくかっちゃんのため!」っていう、全く見返りを期待してない愛情の注ぎ方は、ちょっと女性的なのかもしれない。斉藤わんこは…忠犬ですから。あとサノは野生動物か。

ってなんかいきなり横道それててすいません。せつない話がずっと続いてるここ何週か、ドラマの泣かせどころとか、事件の発端とか、突き詰めるとみんな「認めて欲しい(くやしい)」「認められない(悲しい)」「認められた(嬉しい)」って感情から来てる気がして。現代の私達には、命を懸ける、とか武士道、っていうのは理解しがたいものがあるけど、こういう感情をわかりやすく描いてもらえると、共感もしやすいですよね。

かっしーは期待してた通り、岩倉卿にコケにされるとこの顔が最高でした!というか今回は全部の表情がパーフェクト。セリフがなくても、表情だけで何を思ってるのか伝わりますよね。近藤さんとの会談も良かった。正直、局長ちょっと眠そうですか?と思ったりもしましたが、どっしり構えた近藤と、せわしなく表情と心の中が動いている伊東、という対比が面白かった。油小路で鍬次郎達に囲まれた時も、素手で一人撃ち止めたりしてかっこ良かった!最後の最後で魅せてくれましたよね。あー、ほんとに大好きなキャラだったので、もう出てこないなんて寂しすぎる…。

そして平助。あなたも最後に凄いものを見せてくれましたね。元々顔のつくりはコワモテ系だと思うので、油小路での形相は迫力ありすぎでした。うわ、歌舞伎の顔だ!と思ったよ。思えば初回の冒頭、架空の討ち入り場面で、「おどおどした顔が印象に残った」と、ここで書いてるんだよね私。その後も総司とおかずとりかえっこしたり、鴨を鶏小屋に案内して泣きそうになったり、野口君とお裁縫したり、相撲の行司をしたり、ほっぺにご飯粒つけてひでちゃんにアピールしたり、料亭で総司の名を騙ったり、色々あったよね。…ってヤバい、これ書いてて涙出てきちゃったよ…。なんかさ、来週からもう平助が出てこないなんて、全然実感湧かないのよね。平助はいつもみんなの傍らにいて、喋らなくてもいちいち相づちを打って、ニコニコしたり、驚いたりしてる気がしてならないよ。勘太郎君、お疲れさまでした。素晴らしい平助をありがとう。