「弟」

当初はさほど関心なくて、一話は「まだ子役でしょー」って見なかったんですね。で、何気なく二話を見たらこれが結構面白くて、三話、四話と見てしまいました。五話はずっと闘病生活の話なんで、お仕事シーンはなさそうだし、うちの父親と亡くなった時期が(年齢も)近いので、ちょっと見るのつらいかなあと思ってやめちゃいましたけど。このドラマ、何に一番感心したかって、すっごい細かいとこへのこだわりですよね。ほんの数秒流れるだけの、色んな映画のシーンを事細かに再現していたり(あれを撮影するのには相当手間暇かかってるはず)、バックに流れるだけの裕次郎の曲も、ちゃんと徳重君が歌っていたり、何気なく貼ってあるポスターも、全部徳重・友和バージョンで作り直してあるんだもん。友和が着ていたパジャマなんかも、本人の遺品だそうですよ。一番興奮したのは、四話の宝酒造CMかな。宇野重吉役を寺尾聰がやって、うおーと思っていたら、その後に当時の本物のCMを流すという粋な計らいでした。

正直私の好みではないベタな作りだし、慎太郎がいい人すぎて「うそだろー!」とか、ツッコミどころも満載なんですけども、これだけ引き込まれたっていうのは、作ってる側の「本気度」が違うからなんですよね。「こういうものを作りたい!」って一本芯が通ってるドラマは、やはり面白いです。スタッフもキャストも(坂口君なんかはそうでもないかもしれんが…)、一丸となって「裕さんの為に!!」っていうのがビンビン伝わってくるじゃないですか。私の好きな「新選組!」や「木更津キャッツアイ」もそうだけど、やっぱ作り手が本気で「この作品はいい!」って思ってないとね。もちろんキャストも大方好演。もっと陳腐な感じになるかと思っていたけど、みんな乗り移っちゃってましたね。見る前にはてなダイアリーで書いた感想、ほぼそのまんま。良純なんて出てくるだけで笑えるし。ただ三浦友和は予想を裏切ってそっくりでした。ほんとに良く研究してたと思う。徳重君も、笑うといたずらっ子っぽい雰囲気が似てたと思うよ。長瀬君ともども、良く頑張りました。あとは高島礼子が良かったなー。仲間ちゃんも今どきの女の子より、こういうクサい芝居の方が合ってるんじゃない?案外大河いいかもね、と思ったり。

で、さー。唯一ダメ出ししたいのが、皆さん同じ意見でしょうが、「壮年期」渡哲也役の坂口憲二。まず見た目が似てない。あと年齢設定。なんと坂口君は、37歳から45歳の団長を演じたのですよ。その前の29歳から31歳を演じた金児憲史君と、ほとんど年齢変わらないのに。しかも周りの役者は、揃って中年に変わってるのに。しかしこれらは、本来役者の演技でカバーできるはずなんですよね…。坂口君、視聴率も良かったドラマで、おいしい役だったのにも関わらず、逆にこれ致命傷になってやしないか?正直アレでもう、ほとんどの視聴者に、「あー、坂口役者はダメだこりゃ」という印象を植え付けてしまった気がしてならないです。マザコン青年の役なら良くても、硬派な役は無理なのよ、この人。徳重君や長瀬君が頑張って昭和の雰囲気出してたのに、一人だけ平成だったもん。技巧じゃなくて、心意気の問題かな。また修行の旅に出直した方が良いのでは…それかCMだけ出てるとか…。(ってすっごい偉そうなダメ出しだなあ。ファンの人すいません。)