#48「流山」その2

で、ようやく帰ってくれると思ったら、まだ先があるんですよ。京で近藤を見かけたという部下がいて、結局出頭する事になってしまう。紳士的な有馬さんの態度が格好良かったですねえ。一人でずっと立ったまま待ってましたけど、確か史実では、近藤が支度を終えて出てきたのは、夜遅くになってからじゃありませんでしたっけ?当然「行くな」と止める土方達、「俺はあの人を信じる」の局長。もう、近藤さんのバカバカ、源さん幽霊に言われた事、もう忘れちゃったの?この時ウルウルしながらも、捨助が尾形さんの肩にしがみついてるのを、しっかりチェックしてる私でした。

着替えた正装姿が白装束でいやんと思いながらの、周平とのお別れシーン。史実ではもうとっくに脱走してたと思ったけど、ここでは近藤さんから、「土方には付いて行くな。」と言われるのね。剣は弱いが勉強好きな周平、というキャラにもちゃんと着地点をつけてて凄い。周平の肩に両手を置いて、「命を惜しめ。」と言う局長。身長差も作用して、ほんとに親子に見えました。三谷さんも言ってたけど、あの香取慎吾に「父性」を感じるなんてねえ…。

そしていよいよ、かっちゃん&トシの「今生の別れ」…。思ったよりあっさりしてたかなあ。またグダ泣きになるかと思ったんだけどね。でも良く考えたら、今までだって「死ぬかもしれない」っていう場面はたくさんあったんだし、特に土方の方は、かっちゃんは絶対助かるって信じてたんでしょうね。「俺がここまでやってこれたのは、お前がいたからだ。」というセリフは、慎吾ちゃんが実際耕史君にショートメールで送った言葉。そして「俺は余計な重荷を与えちまったんじゃないか?」「そんなわけないだろ、あんな楽しい事はなかった。」っていう会話も、この二人に見事にオーバーラップしてますよね。コルクは初回の時から、絶対最後に出てくると思ってたんで、それほど驚かなかったかな。ここで第一回の回想が入ります。私が散々「このドラマは回想シーンを使わないところが素晴らしい」と誉めて来たのに、今回二回も回想シーンが入っていて、正直ちとガッカリだったんですよね。初めて演出された方みたいで、他の部分は凄く良かっただけに、なんだか惜しいなあって。でも二回目見て、ここのコルクの回想はあってもいいかなって思い直しました。私みたいなディープな視聴者ばっかりじゃないから、説明がないとわかりにくいかもしれないし、何よりこの二人がいかにこの一年間で成長したかっていうのが、一目瞭然でしたからね。(ただ冒頭のわんこの回想は、先週見たばかりだし、必要なかったと思います。)そして無言で抱き合う二人。うわ、この時代の男同士で、こんなハグってアリだったのかしら…。土方さん目つぶっちゃって、乙女ちっくすぎ。近藤さんは、もうこの時、何か悟ったような目をしてるんだよなあ…。

取り調べではガンとして「大久保大和だ!」と言い張り、「一世一代の大芝居」を打つ局長。香川達も諦めかけたその時、なんと軍の中に、新選組の元隊士がいるという。ここも史実を知っていたのに、「ええー!あともうちょっとなのになんでー!!」と、愕然としちゃいました。小説なんかで読んだ時は、さらっと流していたけど、三谷さんたらなんてドラマチックに描くんだろう。その元隊士とは、油小路で逃走した伊東かっしーの右腕、加納さんなのでした!事実は小説より奇なり。

そしてここからがクライマックス。当然数々の新選組モノのように、ここで加納さんが「そうです、こいつが近藤勇です!!」と嬉々として証言するかと思っていたら、加納さん、局長を見てうろたえています。そうか、そう言えば彼は、御陵衛士の中でも穏健派だった。篠原さんが局長を撃った時も、止めようとしていたんだっけ。そしてそんな優しい加納さんの心中を察した局長は、微笑んで「加納君、お久しぶりです。」と…。もうここで涙腺決壊。だって局長の表情が、まるで菩薩みたいに見えたんだもの!そこには香取慎吾じゃなく、全てを悟りきった近藤勇、その人がいました。思わず膝を折り、「ご無沙汰しております、局長。」と深く頭を下げる加納さん。近藤勇の大きさを知り、驚きと感動を隠せない有馬さん。この二人の表情も素晴らしく、そしてそれが「演技」に見えないほど、ここの局長は神々しかった。

そうだよね、「新選組!」の近藤さんなら、自分から言うよね。この為に今までの一年があったんだ。完全に近藤勇に憑依されてる香取慎吾の表情を見て、「私は今何か、凄いモノを見ているんじゃないか?」と呆然としてしまいました。今までも映画やドラマを見て「上手い演技だなー。」と思った事はたくさんあるけど、こんなに役そのものになり切ってる人って初めて見たかもしれない。テクニックで演じてるんじゃなく、同化しちゃってるんだもの。

そんな局長が、ついに来週処刑されてしまう…。慎吾ちゃんが「本当に自分が死ぬんじゃないかと思った。」と言っていたけれど、私もドラマの中の話とは思えないよ。今からつらくてしょうがないよ。鴨暗殺や池田屋、山南さんの切腹あたりが山場なんて言ってたの誰?やっぱり「新選組!」の主人公は近藤勇なんだよ。誰もを分け隔てなく信用し、誰からも愛された局長だからこそ、こんなにも胸が痛い。三谷さん、なんで局長をこんなにイイ人に描いたのよーっ!(八つ当たり)ああ、来週、大丈夫かな私…。ちゃんと月曜はお休み取ったんだけどね…。なんか後半どんどんイタい文章になっちゃってすいませんね。でも本当に感動したんだもの。この回、今までで一番好きかも知れません。何よりも香取慎吾、よくやった!