「タイガー&ドラゴン」 三枚起請の回(SP)

タイガー&ドラゴン「三枚起請の回」 [DVD]

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久々のクドカンオリジナルドラマということで、発表された当初はそりゃ興奮しまくったもんです。でも放送が近づくにつれて、「IWGPスープの回も、ちょっとガッカリな出来だったし…。」とか心配になってきて、敢えて前情報は極力入れないように、期待しすぎないようにして臨んだんです。それが良かったのかな?面白かったです!いつもの小ネタを少な目にしたり、西田敏行伊東美咲という一般受けするキャストを入れたり、「マニアックになりすぎないように」とかなり気を遣ってましたね。たまたまうちの母親と一緒に見てたんですけど、木更津やマンハッタンは「展開が早すぎて何やってるかわからない」とそっぽ向いてたのに、今回はかなり喜んで、釘付けになってましたからね。特に西田さんの「池中玄太」を彷彿とさせる一挙手一投足に、いちいち大受け。やっぱり年寄りは、馴染みのある役者さんじゃないと見てくれないんだよ。

いやーしかし、落語を題材にするなんて大丈夫か?と思ったけど、さすがクドカン三枚起請は、まずこの話がベースになるわけだから、きちんと最初に説明しておく必要がある。しかしいくら芸達者とは言え、プロじゃない西田さんの落語を、そのままただ見せるってのは退屈。そこでいきなり劇中劇が始まっちゃうっていうのは、わかりやすくていい演出ですよね。それでまた、長瀬君はリアクションが最高にうまいんだ。彼が「うわーおもしれえー!」という顔をすると、本当にもの凄く面白そうに感じるんだよね。なるほど、こういう見せ方があるのか、と感心しました。ラストの小虎の五枚起請も、この手法使ってましたね(というかこのドラマ全体がその為の再現劇みたいなもんだけど)。

あともう一つ不安だったのが、長瀬君と岡田君という組み合わせ。二人とも個々には大好きなんだけど、あまり相性良さそうに思えないというか、意外とタイプが似てて、お互いのいい味を殺し合っちゃうんじゃないかと。でも思ったより絡みのシーンが少なくて(というかあまりにも岡田君が出てこなくて焦ったよ)、幸いだったのかなあ。もし連ドラやるなら、もう少しキャラ設定修正した方がいいかもしれない。虎児は他のみんなには怖いんだけど、竜二だけは崇拝してて一目置いてるとか(IWGPのキングとマコトみたいな感じ?)。ま、今回は岡田君が落語を披露する場面がなかったら仕方ないんだけど、主従の関係がいまいちはっきりしなかったかなあと。

長瀬君、塚本君とのコンビは最高だったけどね。もう塚本君たら、あのダサい衣装似合いすぎだから!このドラマの銀次郎というキャラ的には、100点満点あげてもいいぐらい完璧な出来でした。あとはやっぱ阿部サダヲかなあ。小ネタ抑えめな中で、一人で飛ばしまくってましたからねー。「松田優作のものまねやったのに『知らないよ』って。ユンソナ絡みづれえー!」ってのが笑った。それでいて、「迷惑かけてんだよ、お前のその若々しい感じが!」なんて辺りは、おかしいやら悲しいやらで最高。岡田君は最初のカレー屋のとこが面白かったなあ。彼は本来シリアスな方が得意なのかも。私はこれより「冬の運動会」の方が魅力的でしたね、岡田君に関しては。あ、ショップの名前が「ドラゴンソーダ」ってのはいいね。それって絶対「クリームソーダ」と「ピンクドラゴン」でしょ。裏原つっても80年代初頭じゃん!という30代限定ギャグでした。あーだめだー。色々思い出してどんどん長くなってしまう。とりあえずあと役者関係だと、周平こと浅利陽介君が激カワ!あとチビTの桐谷健太さんがいい味出してたな。小ネタに関しては、やっぱり後でまたエントリ上げるか…。

ストーリーに話を戻すと、まあメグミを巡る男達の話は、相当無理があるというか、はっきり言ってメチャクチャなんだけども、ある意味これもクドカンテイストってことで、そこが面白いとこでもあるからね。「三枚起請」と「もの凄く話がつまらない男」と「タイガー&ドラゴン(の歌詞)」という素材で、こんなドラマが出来るんだなあ。あのね、初見で「いまいちかも…」と思った人、もし録画してたら、もう一回見直してみてください。私も二回見たんだけど、確実に二回目の方が面白かった。クドカン作品はいつもそうなんだよね。連ドラでも初回はまあまあかな、程度でも、三回から四回目でいきなり乗ってくるのよね。最初はまだ役者さん達も固いんだけど、だんだんキャラがクドカンの手をも離れて、勝手に暴走し始める。そこが好きなので、是非連ドラ化して欲しい!絶対面白くなると思うから。