「約三十の嘘」

約三十の嘘 特別版 [DVD]

約三十の嘘 特別版 [DVD]

最初にこの映画の話を聞いた時は、ストーリーも面白そうだし、キャストも最高だし、妻夫木君も久しぶりに主役じゃないし(=おいしい役の可能性が高い)、「ジョゼ虎」のアスミックエースだし、渡辺あやさんが脚本書くっていうし…と、かなり期待が高まったものです。ところが試写会がぼつぼつ始まっても、ネット上で全然話題が出てこない。公開になってもほとんど宣伝もない、相変わらずネットの感想も少ない上に、たまに見つけてもあまり評判が良くない。それでガックリ来て、わざわざ渋谷に行く必要ないなと、近所で公開されるまで待ってました。

(ここからネタバレあり)






なるほど、こりゃ評判良くないのもわかります。だって「6人の詐欺師が列車の中で繰り広げる会話劇」と聞いたら、普通騙し合いに次ぐ騙し合い、所謂コンゲームっていうんですか?そういうのを思い浮かべるじゃないですか。それが全然肩すかしなの。これって青春ラブストーリーだったんですかい?最後の最後まで、「この後どんでん返しがあるんだよね?」って自問自答しちゃったわよ。6人で仲良く三角関係を二つ作って、ってそんな甘ちゃんな詐欺師あるかい!

役者さんは皆好演してたとは思うんだけどね。ただ一人ダメ出ししたいのが、今井役の伴杏里ちゃん。彼女は何でこの役に抜擢されたの?監督の趣味?演技がアレなだけじゃなく、胸も一見してわかるにせパイだし、何より童顔で16歳ぐらいにしか見えないし(19歳らしいですが)、どう考えてもキャスティングミス。「三年前にも男と共謀して持ち逃げした」女の割には、ちょっと若すぎるでしょう。八嶋さんや田辺さんがロリコン親父にしか見えなくて、キスシーンも正直キツかったよ…。かなり重要な役だけに、池脇ちーちゃん辺りがやってくれてたら、ラストの涙の意味もわかりやすかったかも、と思ったり。それかいっそのこと、中谷さんが今井でも良かったのにね。んで志方を役所さんくらいの人にして。そうすればもっとアダルトで艶っぽくなったかも(八嶋さんと田辺さんはそのままでOK)。

って散々ダメ出ししてますが、実はそれほど嫌いじゃないですですよ、この映画。最初から期待しないで見たのもあるし、元々こういう、特に山場もなく淡々としてる話が好きなので。あとやっぱり妻夫木君!最初のシーンのアップは、ニットキャップ+サングラス+絆創膏で鼻の短さが強調され、異様にブサイクでどうしようかと思いましたが、その後は前髪下ろしバージョンな上に、珍しくルーズな感じの色の綺麗なかわいい服を着てて、凄く新鮮でした。役柄もちょっとワルぶった口の悪い男の子で、「妻夫木君は絶対善人より悪人!」派の私としては、かなり満足。「苦しんでる妻夫木君が好き」派としても(何でも派閥を作るなー)、宝田に報われない恋心を抱いてる佐々木君が、せつなくて良かったわあ。特に二人きりで話してるとこなんて、妻夫木君が物凄く生々しく「男」してて、いつの間にこんなフェロモン出すようになったんだろう?って思うほど。

ストーリーはともかく、そういう登場人物のお洋服とか小道具とか、トワイライトエクスプレスの内装なんかが素敵で、目で楽しめたってのもあるかな。私ってどうも衣装やセットが好みだと、それだけでドラマや映画の評価が何割か増しになっちゃうらしい…。そういえば謎だったのが、冒頭の妻夫木君の絆創膏。あれって何だったの?結局。ずっと禁酒してて、仲間を出し抜いた時に久しぶりに飲んだのかと思ってたんだけど、それは嘘だったってこと?うーん、今井の涙もよくわかんないんだよなあ。多分志方の事がちょっと好きだったんだよね?ほんとは宝田みたいに、金より友情を選びたかったんだよね?で、後悔してるかんじ?この辺はもうちょっとわかりやすく見せてくれても良かったんじゃないですかねえ。「約三十の嘘」も、あの志方のセリフだけで終わりかい!あ、やっぱ文句タラタラになっちゃった…。妻夫木君の映画で言うと、ジョゼ虎>ウォーターボーイズ>69>きょうのできごと約三十の嘘>JUSTICE>さよなら、クロドラゴンヘッド、という感じでしょうか。ってわかりにくいか。