#7「息子」

はぁぁぁぁ…。沁みたぁ……。なんつうか、ほんとじんわり来るんですわ。静かに胸の奥が熱くなる感じというか。こないだ車運転してる時、ラジオでふいに「明日」が流れて来て、涙で前が見えなくなってしまって困ったわ。もう条件反射。相変わらずゲストの使い方は実に勿体ないんだけど、それでも今回はわかりやすかったな。サブちゃんの「貧しかったけど、あの頃の暮らしが一番良かった。」というセリフで、仕事人間だったかつての自分を反省し、ひたすら息子を信じる佐々木すみ江の姿に、「自分は一度でも、拓郎をちゃんと見てあげた事があるだろうか?」と悩むマスター。なんというかこのドラマでは、ゲストはあくまでも「マスターの心を動かす装置」なんだよね。ゲスト自体のエピソードは、大して重要じゃないというか。それにしてもサブちゃん、意外と演技上手いので驚きました。時代劇でくらいしか見たことなかったんで、ブチ壊しになるかなーと危惧してたんだけど、凄く自然でしたね。あと私の大好きな(「ふぞろい」貴一の母)佐々木すみ江さん、雪の中を歩くシーンが多くて、「こんなキツい撮影、よく頑張ってらっしゃるなあ。」と心配したり感心したり。あ、何気に港カヲル、じゃなかった皆川猿時も出てましたね。

今までずっとマスターの本心がわからない、とぼやいてたんですが、今回でようやく理解できた気がします。息子とうまくコミュニケーションが取れないまま、最愛の妻に先立たれてしまい、息子の心配をするより、「妻を奪った男」と憎む気持ちが勝ってしまった。この辺の気持ちの揺れ具合の微妙さが、結構リアルなんですよね。ドラマだと佐々木すみ江みたいに無条件に子供を愛するか、或いは全く愛せないか、どちらか一方じゃないですか普通。元々このマスターは、ちょっと冷たいとこがある性格なのかもしれません。拓郎とアズの関係を知って、即拓郎が引っかけたのでは?と疑ったり(朋子さんの反撃はスカっとした!)、あの元同僚への言い方も、ちょっとヤな奴だったよね。それに何より、「自分は拓郎の居場所を知らない」というのを言い訳に、三年間も息子をほったらかしにしてたんだしね。それでもやっぱり、拓郎が美瑛にいると知れば、車を飛ばして顔を見に行ってしまう。ここでマスターが、ちゃんとタクちゃんの事を思ってるってのがはっきりわかったんで、ホッとしました。理屈じゃなく体が動いてしまう、って感じだったし。

ただ親の方は結構微妙なのに、息子と来たら、もう一直線に「パパ大好き!」なのさ。子供の頃構って貰えなかった事も、親なのに人殺しみたいな扱いを受けた事も、全く恨み言一つ言わず、ただ「許して欲しい」という一心で、ひたすら更正に励む。陶芸展でいい結果を残せば、父親と会えるかもしれない。そう思ったら、アズなんてもう眼中ないんですよ。正直ありえねえ!とは思いますが、もうこんなタクちゃんがいじらしくていじらしくて…。あのパンフレットを見てる時の二宮君の表情、セリフなんかなくても、気持ちの動きが手に取るようにわかって素晴らしかった。あとアズへのメールの、「もう逢わない。」という漢字使いに萌え。「会わない」じゃなくて「逢わない」なのさ。でもなんかこの親子見てると、「素直になれない恋人同士みたいだな…」とかチラっと思っちゃったり…。すいません…。元々腐女子属性はなかったはずなんですけどね!いや、多分あのカメラアングルのせいなのよ。あれじゃまるっきり、「憧れの君をこっそりのぞき見…。きゃっ!こっち向いた!」って感じじゃん。なんか変な風にマスターに感情移入しちゃったんだもん、あれで。

そんな感じで(そんな感じか?)なんとなくいい雰囲気になって来た親子。でもちょっと待った!あの爆弾娘をお忘れでないか?どうやら来週、またやらかすみたいね。うわ、雪の中で遭難て、「北の国から」でもあったじゃーん!純と雪子おばさんが閉じこめられちゃうやつ!あれ凄く怖かった。「優しい時間」では室内のシーンが多い事もあって、あまり自然の怖さを表すような話はなかったのにね。ていうか、マスターが電話を受けて「…拓郎は私の息子ですが。」というセリフ、「タクちゃん死んじゃうの?」って焦ったよー。でもまだ何回か残ってるし、それはないよね?って思い直したものの、「アズっていう可能性もあるな…。」とも思ったり。そしたらタクちゃんはまた、自責の念に悩む事になってしまう…。布施博もあっさり殺しちゃったし、倉本さんてほんと奈落の底に突き落とすような話作るからなー。来週は倉本御大の脚本みたいだしね。杞憂に終わればいいんですが。そうそう、やっぱりタクちゃん、刺青入れてたのね。今どきの親は、タトゥーごときで大騒ぎするかな?と思うけど、倉本先生にとっては、恐らく一大事なんでしょうな。