#9「粗忽長屋」の回

これも事前に落語を予習していたのですが、ネットで見つけたストーリーを読んで、「これって二種類解釈できない?」って思ってたんですよ。まずAは、死体は本当に熊のもので、自分が死んだことに気づかず、長屋に戻って煙草ふかしてたっていう話。これはちょっと弥次さんチックですよね。ホラーというかSFというか。で、Bパターンは、全く別人の死体なのに、八っつぁんも熊さん自身も、それが熊だと思い込んでるというもの。どちらも「粗忽者」という点では共通してるのよね。でもどん兵衛さんの落語の解釈を見る限り、恐らく古典ではAって事になってるのかなあ?虎がしきりに「わからねえ」と言ってたし。そして小虎の噺は、いわばBなんですね。この噺をモチーフにしようと考えた時、クドカンが「いや、待てよ、Bという見方もできるよな…。」って思ってひらめいたのかもなあ、と見終わった後思いました。

ま、それはともかく。この噺自体はもの凄く短くて単純なものなので、いくらでも応用が効きそうじゃないですか。私、まさか本当に死人が出るとは思いませんでした。まず思ったのが、「あーこりゃホームドラマ要素に惹かれて見てた層に、思いっきり引かれるぞー。」という事。いやいや、最初の数回見た限りでは、「今回はクドカン、意識して一般受け狙ってるなー。」と思っていたんだけど、後半は結局それも崩れちゃいましたね。木更津にハマったばかりの頃の私は、とにかく小ネタとか笑えるシーンが多ければ満足で、「シリアスな話はいらない!」と言い切ってたんですよ。でもクドカン作品をたくさん見ていくうちに、むしろ「笑い」よりも、「シリアス」とか「ブラック」な面に惹かれるようになってきて。

なので殺人シーンに引く、とかはないんですけど、やっぱりちょっとこのドラマでは、唐突すぎて違和感があったかも。今までがあまりにほのぼのとしすぎてたからね。「厩火事」の時は同じ後味悪いにしても、「一本取られたーっ!」っていう爽快感があったんだけど、今回はそういう感じでもなかったなあ。でもまあ、この話はまだ次回、そして或いは最終回まで続くと思われるので、今回だけでは判断できないかなと。最終回がとてつもなく悲しかったらどうしよう、ってずっと不安だったんですけど、むしろ今回がシリアスなくらいなら、ラストは無茶苦茶明るく、バカバカしく終わってくれるのかも?と、ちょっと期待が持ててきたりして。来週はいよいよ「品川心中」ですね。小百合ちゃんがあれだけ「志ん朝超えた」とか言っちゃってたけど、大丈夫なのか岡田君!

小ネタは明日アップします。