「実録・小野田少尉 遅すぎた帰還」

これ、見たのに感想書くのすっかり忘れてました。一応堺雅人さんが出るというのと、中村獅童の軍人姿が妙に似合っていたので、録画しといたんですけどね。冒頭、若々しい獅童の小野田さんが、51歳(だったかな?)というテロップが出て、「ひえー」と思ったら、次の瞬間満面の笑みでゴーゴーを踊り狂う堺さんの姿が…。そのゴーゴー喫茶のシーンは、なんか妙にテンションも声も高くて、ずっと「うわー、うわー、」って声出しながら見てました。あれも堺さんのキャラの一つなんだろうね。

小野田さんの話は、当時まだ子供だった事もあって、横井さんとごっちゃになってたりして。今回初めてきちんと彼の事を知りました。小野田さんは元々凄いエリートだったんですね。それでスパイとしての教育も受けていたから、どんなに「戦争が終わった」と言われても、作戦だと思ってなかなか信じる事ができなかった。ラジオを聞いていたので、オリンピックの事なんかも良く知っていたってのは、何かで読んだ覚えがあります。その頃はもう、わかってても戻る気にはならなかったんでしょうね。頑なに戦争が終わっていない!と信じ続ける姿は、ちょっとパラノイア入ってるかなあ…と。でもそこまで強く信じなければ、とてもじゃないけどあの環境で生き抜く事はできなかったんでしょう。冒頭陸軍中野学校で、「スパイはメモを取るな」と言われるシーンがありましたが、小野田さんが時計やカレンダーもないのに、頭の中で全て「今日は何年何月何日」というのを記憶し、今後の計画も綿密に立てていた、というのには驚きました。だって30年だよー?

ほんと、想像もつかないくらい、長い長い年月ですよね。島田さんは約十年で亡くなってしまい、小塚さんとはその後18年二人きりで戦ってきたわけだ。これはもう、上司と部下とか親友とか家族とか、そんなものを超えた存在だったんじゃないのかなあ。小塚さんの実家を訪ねるとき、何十年も同じ話を聞いていたので、「そこの角を曲がると櫓が見えて、その先に…」とか、道順が全てわかっていたってのは凄くせつなかったです。でも獅童の老け姿もやや無理があったけど、それより西島君はどう頑張っても50には見えなかったよ…。

今年は終戦60年て事で、戦争もののドラマが数多く作られてますが、知らない世代に話を伝えて行くってのは、やっぱり大切だと思いますよ。私の両親は一応戦中生まれなんですが、戦争中の事は幼児だったのであまり記憶はないようで。ただ戦後の食糧難の話なんかは、子供の頃からよく聞かされました。親が戦後生まれの若い人は、そういう事もなかなかないだろうからね。で、ドラマって手軽に見られて理解しやすいので、そういう場としては一番適切なのかもね。