#3「恐怖の文化祭」

原作を読んでないのでどこまでがオリジナルかわからないんですが、今回は今までで一番木皿色が強かったですね。「そうそう、これだよこれ!」って前のめりになっちゃった。修二は自分ではそつなく「人気者」を演じてると思っていて、周りのみんなを見下していたけど、実は「他人に良く思われたいとしか考えてない」って、弟にはしっかり見破られていた。文化祭では色んな人に「あれやって」「これやって」と頼まれて、それが断れない修二なんだけども、どうもこれって「人気者」というよりは、ただの「便利屋」なんじゃないか?という気がしてくる。そして自分がみんなに振り回されてる間に、内心バカにしていた彰と信子が、二人だけでしっかりお化け屋敷を作り上げ、恐らくあの生霊達と同じように、「かけがえのない思い出」を得ていた。自分が必死でしがみついていた「人気者」の仮面って、一体何なんだ?本当にそれでいいのか?と、やはりプロデュースしてるつもりの修二が、信子達によって変わって行くお話なんですね。

信子ももちろん変わり始めていて、不器用ながらも父親に感謝の気持ちを伝える事ができた。お父さん、そんなに悪い人じゃないじゃない。おにぎりをかみしめるお父さん、いいシーンだったなあ。あとこの子は、なかなかいい事言うわけですよ。「楽しい事って、後になってみないとわからないんじゃないのかな。」とか、「これから先も、またこんな風にぽろって誰かと出会えたりするのかな。もしそうなら、一人で土の中掘ってるのも、悪くないよね。」とかさあ。お化け屋敷の最後に、「今、手をつないでいるその人に出会えたのは、 キセキのような、かくりつです。光の中に出ても、その手をはなすことのないように。」って書いたのも信子でしょ?これ、かなりグッと来たなあ…。その時修二が手を繋いでたのが、彰でも信子でもまり子でもなく、弟だったのも良かった。話それるけど弟クンかわいいよねー!この子、「エンジン」の時は何とも思わなかったけども、このドラマでは超萌えキャラ。「花より男子」といい、変声期の弟ブームかっ?

んじゃ萌えついでに次は彰ね。ちょ、彰むっちゃおいしいキャラなんですけど?一話とは打って変わって、どんどんシリアスな顔が見えてくる。ギャップがあればあるほど、ちょっと真面目な事言うと高得点。てか、この子は元々、修二なんかより全然強いんだよね。クラスの中で孤立してても平気だし、みんなの前でちゃんと信子をかばってあげるし。信子がお父さんを追いかけたのは、彰が「いいパパしゃんじゃん!」って背中押してあげたおかげだもんね。川原ですすきを取ってるシーンは綺麗だったなー。普段あんなアホ丸出しなのに、しみじみと「朝早く三人で人形を作った事とか、夕暮れにすすき摘んだ事とか、何年かしたら、あの頃は楽しかったなーって、思い出すんかな。」なんて言われると、泣けちゃうじゃないの!「何やってもそんなに楽しいって感じたことがない」なんてポロっと真面目な事言ったりして、彰も「いつまでもおちゃらけててもしょうがないなあ」って思い始めてるのかな。

ただ信子と彰の「変化」は、明らかにいい方向に向かってる感じなのに、修二だけはやっぱり「不吉な予感」なんだよね。結局彼が一番弱いって事なんだろうけど…。この「不安感」を煽るのが、毎回ラストの修二のモノローグ。これって「すいか」市川実日子ちゃんがやってた、お父さんへの手紙の朗読と同じ感じなのかな。あれも良かったんだよなー。ちなみに今回の修二のモノローグは、「明日になったら、教室はまた元に戻るだろう。野ブタはまたいじめられて、彰は相変わらず煩わしい奴で、俺は人気者で。それは絶対変わるはずはないのに。俺は、不安だった。何もない自分が、ものすごく、不安だった。」というもの。正直これだけ自分でわかってれば、大したモンだとは思います。彰にしても信子にしても、高校生にしては考え方がしっかりしすぎてるよね。その辺は大人が考えた話だよなーとというか、亀梨君達目当てで見てるような、現役の高校生達には真意が伝わってるのかな?って気もするけど。若い子には圧倒的に、わかりやすい「花より男子」の方がウケるでしょうね。でもせっかくジャニーズ主演の学園モノ、なんて格好の入り口があるんだから、若い人にたくさん見てもらって、少しでも何かを感じて欲しいです。

P.S.生霊達、最初ヤケに老けてるなーと思ったら、20年前の高校生だったんですね。女の子はしっかり聖子ちゃんカットだったし!あと男の子の一人が、「海猿」に出てた坂本真君でしたな。こういうちょっとファンタジックな話も、木皿さんらしい。