「春の雪」その2

春の雪 [DVD]

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その1はこちらです。

まだ続くのかい!って感じですけども、語りたいのです。許してくださいましね(聡子)。えー、じゃあその1では全体的な事やストーリーについてだったので、こちらではキャストについて。新聞や雑誌の映画評では、キャストに関しては、ほとんど「蓼科の大楠道代は良かった」の一言のみ。或いは若尾さん、岸田さん辺りも「さすが」と誉められてたかな。だから「あー、これは主役の二人はダメって事だな」と期待してなかったんですけど、観てみたら意外や意外、私は妻夫木君と竹内さんが思いの外良かった。原作だと、清顕も聡子ももっとシャープなイメージなんですよね。でもこの二人が主役という事で作られた、「行定版春の雪」はこれでいいんじゃない?と。竹内さんは観る前は、「下がり眉とタヌキ顔で、貴族のおひぃさまって雰囲気じゃないよなあ」と思ったけど、その鈍重さが逆に、「あー、こういうお嬢様っていそうだわー」って。で、何より清様と結ばれた後の表情の変わり方が凄かった。ほんわかしたルックスだけど、芯は強いっていうのが持ち味だしね。彼女がモテまくるドラマ(「ランチの女王」とか「不機嫌なジーン」とか)にはどうにも納得できなかった私だけど、この役は良かったよ。言葉遣いも不自然じゃなかったし。ただ一つだけ、やっぱり濡れ場はもう少し肌を見せて欲しかった…。乳首出せとか言わないから、せっかく着物なんだし、フトモモぐらい、ねえ。

一方大楠さんは、あまりに絶賛されてたせいかちと期待しすぎて、やや拍子抜け。もちろん良かったんですけどね。原作だともっともっと怖いイメージだったし。これは演技というより、演出の仕方かな。あと高岡君の本多も、原作とは随分キャラが違うかも。原作では頭はいいけど、インドア派で冴えない感じだし。映画の本多はバリバリ体育会系だもんね。これは映画には登場しない重要人物、書生の飯沼をミックスさせてるのかな。でもこの本多がいることによって、原作未読の人は随分救いになったんじゃないでしょうか。「いい人」がほとんど出てこない話だしねえ。てか本多君の献身ぶりは、「いい人だから」というより、ある意味友情を超えちゃってるわけですが。これは腐女子的邪推…じゃないですよね?高岡君、おいしい役だと思いますよ。あ、あと聡子の子役は竹内さんにそっくりだったね。でも清顕の方が…。なんであんなピグモンみたいな顔なんだよう。

じゃあそろそろいい加減、妻夫木君の話に入りましょうか。彼は映画にやたら出てますけど、主演作で正直「これは文句なしにいい!」ってのは少ないんですよね。「ウォーターボーイズ」と「ジョゼと虎と魚たち」ぐらい。「ドラゴンヘッド」とか「ローレライ」とかの大作はダメダメムードだったし、特にここのところ期待はずれなのが続いてたんで、これは久しぶりに良かったなと。元々好青年の役より、性格悪い役の方が好きだしね。行定監督も言うように、そっちの方が地に近いんだと思います。でも最近おでこが気になり始めてるというのに、こんな短髪って…と思っていたけど、髪型以外はかなりイケてた!彼は顔がむくんで見えやすいんだけども、ちゃんと節制してたのか、とても彫りが深く、ハンサムに映ってたと思います。ただ病に倒れてるとこらへん、白塗りが浮きすぎだったけどね。これは竹内さんも同じで、もうちょっとお肌綺麗に撮ってあげて欲しかったなあ。

それでは萌えどころ&笑いどころ(いや、本来笑うとこない映画ですけどね…)などを挙げて行きます。ネタバレどころの騒ぎじゃないので、さすがに観る前には読まない方がいいかも。

・ボートに乗って空を見上げてる顔。ポストカードとかにも使われてたけど、綺麗でした。
・清様爆笑コスプレシリーズその1。ワインレッドのシルクのパジャマ。
・両親と食事のシーンで、聡子の話を聞いて思わずにやりとする清様。後ろからのカメラで、頬が持ち上がったのがわかって、ほぉ〜と感心(ダジャレではありません)。
・女中に迫られた時、鼻息が異様に荒い。清様ハァハァしすぎですわ!この女中さん、最初伊藤歩ちゃんかと思った。
・追いかける本多をかわし、ポストに手紙を投函する清様。笑顔満開なのはこのシーンぐらいかな。
・なんと!流暢なクイーンズイングリッシュ。ねえ、マジで上手かったよねえ?これは誉めてあげてよ。
・ミッチー登場で思わず笑いそうに。出番すくなっ。
・帝劇で聡子を見つけ、わざとらしく「なんたる偶然!」という時の得意気な顔。
・「蓼科、これからも僕のことを助けてくれなくてはいけないよ?」大楠さんウラヤマシス。
夢日記を書く時の、ペンのカリカリ…って音が心地よくて素敵。
・金ボタンがたくさん並んだコート、むっちゃ似合うー!かわいいー。制帽もかぶれば、ほらおでこも隠れるし!
・てか東南アジア顔好きの私としては、タイの王子達にも密かに期待しておったのですよ。でもいまいちだったなあ…。私の場合、本物じゃなくて「東南アジアっぽいと言われる日本人」が好きなのかも。
・お雛様の夢のシーン、私は意外とつっこまずに済みました。
・蓼科を呼び出し、思い切り顔を近づけて脅迫する清様。大楠さんウラヤマシス2。
・密会に行く時の、マントみたいな形のレインコートもかわいかった。
・妻夫木君は最近すっかり、「濡れ場がエロい」というイメージが浸透している気が…。原作では聡子の方がリードするんだよね、初めての時。私はむしろそっちの方が萌えたかもなあ、なんて。
・清様爆笑コスプレシリーズその2。ふんどしキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! もっと全身が良く見えるように、立ち姿も見たかったけど…ゲフゲフ。
・清様爆笑コスプレシリーズその3。裸にサスペンダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! ゆうこりんが脱がないからって、妻様涙ぐましい努力だわ。果たしてどういう効果があるのかわからんけど。
・清様の脇腹には、ちゃんと三つのほくろがありました。原作では鎌倉の海で、本多がそのほくろに釘付けになるというシーンあり。このシーン入れて欲しかった…かなり。
・鎌倉の松林で、清顕に駆け寄る聡子、そして手を取り合って走り出す二人、っていうシーンは良かったなあ。それをせつない目で見てる本多も。
・どしゃ降りの中、綾倉邸の前に佇む清様。あ、危ない…おでこが。
・聡子の部屋のセットも、和洋折衷な感じがかわいかった。窓ガラスをつたう雨も綺麗だったし。
・ずぶ濡れ清様を手ぬぐいで拭いてあげる本多。清様の「そうされて当然」みたいな態度が萌え。
狂言自殺した蓼科の白塗りが怖いよー。
・髪を切った聡子を見て、やっぱり竹内さんはショートの方が似合うと思いました。
・級友達が新聞を見て噂してるシーン、この生徒の一人が柄本佑君なんですが、一回目の時は全然気づきませんでした。
・なぜ旅館のオヤジが引っ越しのサカイ…。もの凄くシリアスなとこなのに、声が聞こえた瞬間、笑ってしまったじゃないの!
・憔悴しきった清様をいきなり抱きしめる本多。愛の告白かと思ったよ!
・本多が門跡に直談判するシーンは、高岡君凄く良かった。
・その後聡子が姿を見せず、襖の奥からすすり泣きだけ聞こえるとこは、竹内さんが剃髪するわけにいかないせいかなーとも思ったけど、なかなか味わい深くいい演出でした。
・石段で倒れる清様、やっぱ顔白すぎだと思う。ゾンビじゃないんだから。
・汽車の中で目を閉じた顔は、とても美しかったです。
・あとラストのナレーションの声!おだやかでいい声だったー!「聡子ー!」って叫ぶとこがサイアクだっただけに、この声にはやられました。

最後に宇多田さんのテーマソングですけど、曲自体は嫌いじゃないんだけど、やっぱり映画の雰囲気には合ってないよね。ポップス自体が。せっかく「正統派文芸作品」してるんだから、ちょっとこれは惜しかったな。上映時間が長いので、エンディングになった瞬間立ち上がる人も多いようで、あまり効果なかったのでは…。

以上、長々と失礼しました!多分また観に行くと思います。しつこいですねほんとに。