#6「親と子の青春」


「道端の十円玉」草野彰

「笑って生きる」小谷信子

「ちゃんとした人間になる」桐谷修二

今回のテーマは、「お金を稼ぐ事(仕事)について」かな。彰の話がメインで、信子はあまり目立ってなかったので、堀北さん目当てで見てる人には、ちょっとイマイチだったかもしれんね。修二達は進路希望を提出するように言われ、出勤するサラリーマンの群れを見て、「こんな風にはなりたくない」と若者にありがちな事を思う。しかし野ブタキーホルダーの販売、彰の父や横山先生の選択を通して、自分たちでお金を稼ぐ事の楽しさや、失敗した時のくやしさや、生活の為に夢を捨てる事、そしてそれが必ずしもマイナスになるわけではない事を学ぶ。「仕事」に夢中になるあまり、父親に「お前サラリーマン向いてるかもね」と言われたり、まり子に同情されたりと、いつになく熱くなってしまったかっこ悪さに自己嫌悪する修二。でも結局儲からなかったけど、「宝箱」に収められたキーホルダーは、確実に「誰かの心に何かを残した」んだよね。こんな短いエピソードの中に、「お金を稼ぐってこういう事」っていうのを、実にわかりやすく描いているのはさすが。「すいか」でも同じようなお金の話はあったけど、あれはもう登場人物達が大人でしたからね。やはり「野ブタ。」は、「大人から若者へのエール」という目線で作られていると思います。

そして今回初登場した彰の父。彰の話だと、金と権力にまみれたイヤなオヤジ、みたいなイメージだったけど、全然そんな事なかったじゃん。これって信子の義父の時と同じだよね。こういう若者が主役のドラマだと、得てして記号的な「汚い大人」が出てきたりするものだけど、このドラマの大人達はみんないい人だな。いや、それも単純な「いい人」じゃなく、物事何でも「表と裏」があるっていうのを、木皿脚本は一貫して伝えようとしてる気がする。高校生くらいだと、自分達のごく狭い身内以外は、「○○なんてそんなもの」(○○=大人、教師、親、サラリーマン、いじめっ子、いじめられっ子etc.)って決めつけて思考停止しがちでしょ。でも「世間」はそんな単純なものじゃない。彰が子供の頃、父親が「俺の宝物はお前だ」と言ってくれた事や、たい焼きの頭の方をくれた事を思い出し、必死で働いているのは自分の為だって事がわかったってのは、大きな成長でしたね。与えられる事が当たり前だと思ってたのが、感謝する事を覚えたんだから。それにしてもこの三人、一応皆両親揃ってる設定なのに、見事なくらい母親が出て来ないのね。そういや「すいか」も、小林聡美の父親は最後まで登場しなかったな。

…なーんて、妙に真面目くさった事ばっか書いちまいましたが。お待たせしました!こっから先は萌えコーナーです!もうね、ヤバいって山Pってか彰!先週「かっこ良すぎる彰はイマイチ、もっとヘラヘラしてる方がいい」とか言っておきながら、マジ彰の魔力に抗えませんでした、私。ちょっと本気で惚れてしまいそうです。先週は信子に近づく事すら恥ずかしがってたのが、今週になったら普通に話したり触ったりしてて「おや?」とも思ったけど、なんかそれが逆に「これ内心ドキドキしてるんじゃないかしらー」と想像力をかき立てて萌え。まず軽くノックアウトされかけた、屋上でたい焼き半分こデート(?)の場面。


彰「いっか。友達できたんだもんな。野ブタパワーは売れるし、なんかどんどんみんなのものになってるみたいで。さびすぃー。」

信子「私は、全然変わってないと思うけど。」

女子A「小谷さん!こんな所にいた。」

女子B「キーホルダー欲しいって子が来てるよ。」

女子A・B「いこ。」

去ろうとする信子の腕を掴む彰。(←きゃーーー!!)

彰「そんなんどぅーでもいいじゃん。」

信子「でも、欲しがってる人がいるから。」

彰「…はい。」(この寂しそうな上目遣いはヤバい!ヤバすぎる!)

信子、去る。

彰「プロデュースするって事は、みんなが欲しがるものになるって事か。…って俺救われねーだっちゃ。」

あんな目でじっと見つめられたら、私だったら「はい、行くのやめます。一生ここにいます。」と言ってしまいそうだ。そして完全ノックアウト、瀕死の重傷を負った最後のこの場面!


彰「あのさ、俺プロデュース止めたいんだけど。」

修二「ふーん、そう。……え!?なんで?」

彰「苦しすぎるから。」

修二「苦しすぎる?」

彰「野ブタがみんなのものになるのが苦しい。」

修二「え、どういうこと?」

彰「野ブタを俺だけのものにしたい。ほんとは誰かに見られるのも嫌なんだよ。」

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! もう反則ですよハ・ン・ソ・ク。これねえ、少女漫画っぽいかっこいいセリフだからとか、そういう問題じゃないんですよ。今まで「満たされてるが故に何が欲しいのかわからない」人だった彰(一話でケーキが選べない、みたいな話あったよね)だからこそ、余計響くの。彰の中に、初めて「自分だけのものにしたい」という欲求が生まれたんです。だから単純に恋愛モードとかじゃなく、これも彼らの成長物語の一つなんだと思う。ああ、ほろ苦いよ。この初恋がすんなり成就するとも思えないのが、またせつないんだよなあ。むおー、青春ってまぶしいっ。