#8「いじめの正体」

いよいよ最初から漂っていた不吉な予感が現実となり、修二の転落が始まる。あれよあれよという間にクラスで孤立して行く修二の姿は、ある意味予想通りとは言え、やっぱりつらかったです。でもね、今回のラストを見て、私はこれなら希望が持てる、と思った。確かにこの数日は修二にとって「人生最悪の日」だったかもしれないけど、同時に「最高の日」に向かって着実に踏み出したとも言えるのでは?と。だって修二には、心から信じてくれる友達が、二人もいたんですよ!正直、私も彰があの写真を見てしまった瞬間とか、蒼井が「修二に犯人呼ばわりされた!」って信子に泣きついたりしたとこで、あまりに狡猾な蒼井の作戦に、ああ、もうこれはダメだよ…修二一人ぼっちになっちゃうよ…って思ったの。でもこの二人は、修二を信じてくれた。もちろん彰と信子がいい子だってのもあるよ。でもそれだけじゃない。修二がこの二人の事だけは、(咄嗟に「友達は二人」と答えるくらいに)仲間だと思っていたから、それがちゃんと伝わっていたからこそ、でしょう。ずっといじめられてた信子、クラスで孤立してた彰にとって、修二は初めて自分とまともに向き合ってくれた友達だったのかもしれない。残念ながら他のクラスメイトとは、この程度の噂であっさり信用がひっくり返るほどの関係しか築けてなかったんだよね。修二も彼らの事内心バカにしていたし、厳しいけどそれはお互い様かもしれない。

で、これからは、修二が彰と信子をどこまで信じる事ができるか、っていうのが課題だと思うの。予告がなかったのでアレですが、公式を見ると、どうやら来週も蒼井の嫌がらせは続くようで。となると、修二は信子や彰を傷つけまいとして、また蒼井の言いなりになってしまうと思うのね。でも今週も、二人は「信じたい方」修二を選んでくれたじゃない。そんな二人の強さを「信じて」あげて欲しいのよ。「悪意」に打ち勝つ為には、それしかないんじゃないかな。そして木皿さんなら、このドラマなら、きっとそういう希望の持てる話にしてくれるんじゃないかと。今までもそうだったけど、今回特に、大人達の助言が良かったですよね。「モノを埋めて忘れる」っていうのは、木皿脚本の定番なのかな。「すいか」でも、フラれた彼女に渡せなかったラブレターを、野口君(金子貴俊)が庭に埋めるっていうエピソードがあったし。その時の教授の言葉、「みんな何かしら埋めて生きてるのよ。安心して忘れなさい、私が覚えといてあげるから。」は、私の中でのドラマ名セリフベスト3に入ってますよ。でね、見てて思ったんだけど、私ったら修二達高校生に感情移入して「わかる〜!」とか泣いてる場合じゃないじゃない、と。あんたはとっくに、キャサリンやおいちゃん側なんだぞと。私は子供がいないし、若い人と接する機会もほとんどないので、アドバイスも何もできないんですが、ま、直接何か言うだけが「助言」じゃないもんね。木皿ドラマはよくある学園モノみたいに、「今の高校生はダメだよねー」「大人は汚いよねー」とか他人事として見るんじゃなく、「そうだよな、私達大人がもっとしっかりしないと!」って、気づかせてくれるとこがいいんだな。そして優しい言葉だけじゃなく、「どん底に落ちても、まだまだ人生は続く」なんて、ちゃんと厳しい現実を教えてるのも良い。

そしてついに発覚したいやがらせの犯人、蒼井なんですけど、まあ私も9割方この子だろうなーとは思っていたものの、理由が想像つかなかったんですよ。修二が好きだから?とか、信子が転校してくる前に、何か確執があった?とか色々推測してたんだけど、そんなかわいいもんじゃなかったのね…。「自分の力で人を変えて行くのって、面白いよね。」なんと、修二とベクトルが違うだけで、同じ動機だったという。野ブタをプロデュースしているつもりの修二が、逆に信子達によって変えられて行くっていうのは、最初の頃から何度も出てきていたけど、まさか更にもう一人、修二をプロデュースしている人物がいたとは。いやいやいや、この犯人探しは、それほど重要なファクターじゃないんだろうなと思っていたのに、こんな形で核心に絡んで来てたんだ。もう唸るしかないです。

…って、なんか真面目な事ばっか書きすぎて、肩凝っちゃったかな。ほいじゃ今回面白かったとこでも挙げてみますか。まず冒頭のシーンで、家族全員彰の教えを守って、「ズボンにイン!」してるとこ。しかも弟クンまでちょんまげにしてるしー!かわいい親子だよなあ。あのお守りは、まさに「信じれば真実になる」の象徴なわけですけど、三本足で不安定なのがミソですね。あと清志郎が嬉しそうに修二の自転車に乗ってたのも、密かに面白かったし、三人で野ブタのシメのセリフ考えてるとこなんか、ほんと幸せそうだったよねー。あの辺かなりアドリブ満載と見たぞ。てか彰って、どこまでが台本通りなんだろうね。毎回机に足や手をぶつけるのって、山Pが考えたのかな?マフラーをしっぽみたいにぶら下げてるのとか、水筒に「あきら」って書いたりしてるのは、確実に本人のアイデアだよね。今週の彰で一番キュンとなったのは、「あきらショーック!」のあの写真の、信子を愛おしそうに指で撫でてたところ…。そんなに好きなのに、修二を全く責めずに、「俺達はずっと親友ばい!」だなんてさー。普通のドラマだったら、「そんな出来た奴いねーよ!」とか思いそうなんだけど、あのキャラであの喋り方だと、何か違和感ないのよね。何かで元々彰はあんなキャラじゃなく、山Pが監督の言うことを無視して作ってしまった、って読んだんだけど、あなた大正解よ。役作りの天才よ。あとキュンと来たと言えば、お弁当をそっと置いて去る「諦めない」まり子ちゃん。やっぱりあの三人は恋愛関係にはならない気がするので、最終的には修二がまり子の気持ちに応えられると嬉しいなあ。

いやー、長い長い。ちょっと支離滅裂で全然まとまってなくてすいません。でもまだ語り尽くせないなあ。ほんと深いドラマですよ、これは。あと二回で終わっちゃうのかあ。寂しいなあ。一応毎回録画してはいるけど、これはDVD買いますね、私。