#9「運命のまわり道」

友の妊娠を知った明之は、案の定そちらに気持ちが傾いていく。そりゃ、いくら「一人で育てます」って言われたって、知らん顔はできないわな。それに自分を捨てた父親を散々恨んできた身としては、同じ過ちを犯す事は絶対したくない。でもまあ友からすれば、それって結局自分の事しか考えてないんじゃないの?って言いたくもなるかな。友は友で「家族」への憧れが強い分、完璧主義というか、あれこれ考え過ぎちゃうとこがあるのかも。今回玲子に「子供を一人で育てる現実を知るべし!」とお金の計算をさせられたり、舞子の「思ってる事全部ぶちまけました。タケちゃんを信じてるから。子供は母親だけのものじゃないもん。」という言葉で、つまらない意地にこだわるのは、本当に子供のためになるのか?明之を信じて、素直に甘える事も大事なんじゃないの?と反省し始めるところ、良かったなあ。他の安っぽいドラマだと、「シングルマザーとして頑張る私の美しい決意」ぐらいまでしか描かれないけど、このドラマはもう一歩踏み込ませるとこが好き。

とことん優柔不断な明之だけど、さすがに父親の決意は固かった。梓との別れのシーンでは、「私、一人が怖い。」と泣かれても、今までみたいに押し流されなかったね。梓があまりに痛々しくて、私だったら抱きしめるくらいしちゃってたかも…。言いたい事言って、でも「泣いてすっきりした!」ってしつこく責めない梓もかっこよかったな。これまた、私だったらグズグズ引き留めてしまいそうだよ。ただこのまま明之が友とやり直してハッピーエンド、とならないのがこのドラマの怖いところで…。友を選んだのは、その時点では友を守ってやらなきゃ、と思ったからだけど、実は梓も父親の借金のせいで、工房も失ってしまう危機に陥っていた。目の前で泣いてる子がいると、放っておけないタチなんだよねえ、明之は(思慮不足とも言う)。梓のとこに走る前に、友に何かしらの形で伝言しろよ!とか、友も友で倒れるまで待ってるなよ!とか、最後のシーンはちょっとツッコミどころ満載ではありましたが、「究極の選択」を表すには、わかりやすかったのかな。

来週亡くなるのは、やはり明之達の父親でしょうね。今回わざわざ遺言状を持って来たところを見ると、恐らくその内容が、今後の明之に大きな影響を与えそう。モックンの髪型が微妙に変わって、「数年後」っぽい映像があったので、やはり結局皆一人なのかなと。友の子供は無事なのかどうかはわかりませんが、復縁はしなさそう。梓から仕事を取ってしまうのはあまりに残酷なので、借金は父親の遺産で、明之か了が肩代わりしてあげる、っていうのはどうでしょう。俊介と玲子は幸せになって欲しいよねえ。まあ玲子には子供がいるから、俊介にかわいい恋人でも作ってあげて下さいよ、龍居さん。最後にDVD発売のお知らせが流れてかなり驚きましたが(あまりに低視聴率&このキャストではないだろうと思ってた)、スタッフもそれなりに自信と思い入れがあるんじゃないかなあと。他の人気ドラマが最終回を迎える中、これはまだ一話残ってますもんね。恐らくそれなりに時間もかけて、11週のストーリーを綿密に構築したのではないでしょうか。視聴率が悪いので、テコ入れでテイストが変わったら嫌だなあと思っていたんですが、全くそういう事もなかったしね。うん、これは本放送だけで終わらせてしまうのは、もったいないドラマですよ。DVD化されて、是非もっとたくさんの人に見て欲しいと、私も思います。