#10「青春アミーゴ」

野ブタ。をプロデュース DVD-BOX

野ブタ。をプロデュース DVD-BOX

ううう…終わっちゃったよお…。今はただただ寂しいです。言いたい事がたくさんありすぎるんですが、とりあえず一番物議を醸しそうな、ラストの展開の事から行きましょうか。修二が原作で転校するのは知ってて、ただもしかしたら、ドラマでは修二も豆腐屋に下宿して、そのまま三人仲良くって話になるかなあ…ともチラっと思っていたんですよ。でもまさか、彰が追いかけて行くとは!あまりにも想像の斜め上行かれちゃって、最初は口あんぐり状態でした。でもよくよく考えてみると、こうするのが一番良かったのかもなあと。一話で「狭い学校の中でどう振る舞うか」しか考えてなかった修二が、「俺達ってさ、どこででも生きて行けんだなあって。」と、「外にはもっと広い世界がある」と気づくというのが、このドラマのテーマの一つでもあったと思うので、修二が旅立つのはまず必至じゃないかと。で、原作通り残されるのが男の野ブタ一人だったら良かったんでしょうが、野ブタは女だし、彰という新キャラもいる。途中で信子は修二に恋してる?と思わせるような回もあったものの、最終回を見るに、木皿さんは信子が修二とも彰とも、恋愛関係にはならないよと、かなり強調していた気がします(お札を渡す信子が「どちらか選べない」と言ったり、そのバチがなぜかシッタカに当たったり)。しかし彰と信子が残されてしまうと、果たして「友情」のままでキープできるのか?となっちゃいますよね。三人の関係をこのまま友達にしておくには、こうするしかなかったんじゃないかなあ。

あと彰も言ってましたが、要は「♪俺達はいつでも二人で一つだった〜」っていう。まあ単純に歌に引っかけただけかもしれないし、かなり深読みすると、やっぱり彰って修二の分身だったんじゃないかなと。少し前の週刊朝日で、小倉千加子修二と彰は「異心同体」、彰と信子は「同心異体」と書いていたんですよ。心理学でいう「シャドウ」っていうのかな。元々彰って原作にないキャラだし、ジキルとハイドみたいに、修二とは真逆なんだけど、実はそうなりたいと思ってる姿というかね。ほら、「彰」って「影」と似てるし!…ってこれはこじつけだけども、このドラマのファンタジックな雰囲気からしても、彰は実は修二にだけ見えてた妖精さんでした、とか言われても納得しちゃいそうな(…え?)。なんか生活感とかないしさ。ヘリで転校してきた、なんてあまりに現実感のない再登場の仕方に、ますますその感を強くしたのでした。いや、ただ単にファンサービスとか、続編やSPを作りやすくしたってだけなのかもしれないけどね(でも私は続編反対だなあ)。

で、そのラストがあまりにもインパクト強かったので、その前の話が全部ふっとんでしまったんですが、思い返してみれば、いい最終回だったと思います。お話としては先週で決着はついてしまって、今回はまるまるエピローグって感じでしたね。ここ数回の緊張感から解き放たれて、割と淡々としてはいましたが、細かいネタがたくさんあって、噛めば噛むほど味が出る、みたいな回だったんじゃないかと。確かにねー、修二達三人の固い友情と成長っぷりは、先々週くらいからすっかり「あがり」状態になってしまっていたので、もうこれ以上やるとクサくなっちゃうんじゃない?という、ギリギリだったかもしれない。彰の部屋で、修二と信子が語り合うシーンも、凄くいいセリフなんだけども、ちょっとしつこいかな?とか、川原でクラスメイトと別れるシーンは、明らかに他の生徒役の子へのサービスだよなあとか、ここぞとばかりに大人達に説法させすぎかな?とか、アラがなかったわけではないけども。まあ、金曜の朝まで撮影してたっていうんだから、仕方ないのかな。脚本が遅れたのは、単に遅筆って事じゃなく、色々大人の事情がありそうな気もしますし。

んじゃここで、細かい小ネタと萌えシーン(ありがとう木皿さん!!)の数々をピックアップしていきましょうか。今までも小ネタは色々あったんですが、なかなかそっちにまで手が回らなかったので、最終回ぐらいは。

・彰の猫耳ならぬトナカイ角!!!いきなりやられた!あとここで修二と彰が紺のベスト着てるのも大好物!(今まで着てたっけ?)信子の帽子もかぁいかった。
・また夢ネタです。後のプレゼント交換への前フリですな。
・と、萌えたところでいきなり苦言。山Pの彰の役作りに関しては、素晴らしい!とベタ誉めの私ではあるんですが、一つだけ気になるのが、アクセサリーを妙にジャラジャラ付けてる事。あれは山Pが自分でやってるんだよね?なんかそこだけ彰じゃなくて、ギャル男の素の山Pになっちゃってる気がして。これは「STAND UP!!」のケンケン(童貞鉄ヲタ)の時も気になったなあ。二宮君が制服の着こなしからしてダサ坊になりきってただけに、ね。服がオシャレでもそう気にならないけど、アクセサリーはどうも引っかかる。以上オバハンの小言終わり。
・信子が修二に「笑えてる?」と聞いて、ダメ出しされる場面。これも後の前フリ。
・「下の名前で呼んで♪」とおねだりする彰。かーわーいーいー!ってちょっと待った。以前みんなでビデオ見る時、「じゃ次、彰。」って言ってたよおお!!あれは亀梨君のアドリブだったのか?でも信子の「あきら!」が面白いからまあいいや。あと名前忘れられてるとかいうのは、クドカンが良く使うネタなので、ちょっと「おっ」と思ったり。
・後輩に「写真撮ってください」と言われる信子、で、そこにちゃっかり参加してる彰。
・ぬか漬けの事を話したがらない彰に、「あきらっ!」とまたドスの効いた声で呼ぶ信子。ワハハとウケてたら、二日目の「…あきら。」と凄く優しい声にゾクっとした。これはやられるわー。
・本日一番の萌えシーン!!きゃー、彰が追いかけてるー!なんと、以前信子が修二を抱きしめた、あの公園のあの場所に、信子が落ち込んで座っている!今ここであの写真を出してきたのは、そういう意味だったのね。もう、超ドキドキですよ。でもここで信子を抱きしめられない彰に萌えた、そして泣いたよ…。彰最高っ!
・「ほんとは、寂しいのは修二の方だよね。」確かに転校するのは自分なのに、信子や彰の事ばかり気遣ってんだよね、修二は。そしてそんな修二の優しさを、ちゃんとわかってる信子と彰。
・「野ブタに巫女さんになってもらって…」という冗談で、ほんとに神社に行っちゃう信子。「たのもー」って。今回は信子がダッシュするシーン多かったね。
・今度は弟の夢を共有しちゃう修二。キミはエスパーですか?優しいお兄ちゃんだなあ。
・「誰かの為にっていうのはさ、自分は大事にしてないって事なのかな。俺さ、野ブタの為に一生懸命やってる時が、一番自分らしかったなあって思うんだ。お前もそうじゃない?」「野ブタだってさ、誰かを喜ばそうとしてる時が、一番いきいきしてない?」
・蒼井の所へ行って、「蒼井さんの意地悪、全部私が受け止める。受け止めてみせるから。」とまた全力でぶつかって行く信子。修二同様、この手のタイプはこういうストレートな攻めに一番弱いのかもね。
・絵馬に「蒼井さん復帰」(自分)「楽しいことがいっぱい」(彰)「どこへ行っても大丈夫」(修二)と書く信子。彰のはついでみたいな気がしちゃうのは私だけですか、そうですか。
・商店街で「川の方で見たよ。」と教えてくれる、坊主でノースリーブでメガネでマフラーの兄さん。「野ブタパワー」やってましたな。
・一番大切なのはどっち?という「究極の選択」、ちと「今夜ひとりのベッドで」を思い出してしまいました。
・「彰にあげていいよ」と即答の修二、「お前だけかっこつけてずるい、でも俺にバチが当たったら困る」と「めんどくさい」彰、一途にお札を半分にしようとした挙げ句、川に捨ててしまう信子と、三人の性格がよく現れてるお札のシーンでした。
清志郎が枝を折ってしまうとこ、人差し指のマニキュアがはげてた…。
・なぜかバチが当たったのはシッタカ?「野ブタの好きなの、シ、シッタカ?」「どうだろう、ね。」「なきにしもあらず!」彰、完全に翻弄されとります。これって結局どういう意味だったんだろう…。後に信子がシッタカと…という暗示?
・まり子が焼きそばパンみたいなものを持ってたのは、もうお弁当作りを止めたって事かな。
・「久しぶりだね、修二の周りに人がいっぱいいるの。」クラスの子達の信子や修二に対する態度の変化が極端なのは、彼らを思い切って「書き割り」化して描いているせいかも。
・「お前の悪いところは、全てのゲームに勝とうとするところだな。自分が勝てるところで勝負すればいい。」横山先生(&木皿さん)、「俺、なんか今いい事言ったな。」と照れ隠し。
・そして「振られた男にあげるはずだったマフラー」「割り箸で『これで何でも好きな物食べなさい』」(結構ウケた)というギャグで、更に照れ隠し。
・お母さん、またもや嵐のようなご帰宅。「自分の中だけにしまっておきたい思い出ってあるんだよなあ。捨てられるのも見られるのも嫌だったんじゃない?」
・キャサリンがくれた、「二つ集めると幸せになれる」人形。「後はあなた達の運と努力で増やして、幸せになって、その幸せを、人にもあげられる大人になって下さい。」はい、精進します…。
・で、プレゼント交換は、三人ともその人形だった。こういうとこ、木皿さんぽくてじーんと来るんだよね。自分の人形をあげて、他の人に幸せになってもらいたいっていう気持ち。冒頭のサンタの前フリが効いてるよね。
・修二と信子が、お互いに感謝の気持ちを述べ合うシーン。彰は何やってたの?いつ「俺もいるだっちゃー!」とか後ろから出てくるかと、気になってしまった。あと手すりのミニ雪だるまが効いてた。
・まり子と「教室の海」での最後のデート。「まり子と楽しもうと思えば、いくらでの楽しめたのになあって。」「今度会う時はさ、もっとましな人間になってるつもりだから。」「きっと忘れないと思うよ、この味。」まり子いい子だなあ。もし修二と再会する事があれば、いいカップルになりそう。
・ふて寝する彰のヒップライン(パンチラ付)が素敵すぎ!!!すいませんキモくて!
・「苦しいからって逃げてどうすんだよ。修二と会った事も、全部なかった事にすんのか?苦しい事を投げ出すっていうのはさ、楽しかった事も全部投げ出すって事なんだぞ。いいのか?」
・最終回にして初めて気づきました。修二の住んでるマンションて、「年下の男」で千華子が住んでたとこと一緒じゃない?ベランダがガラス張りで、特徴あるんだよね。
・ヨシダ(石井智也君)、マフラーをねじねじしている…。
・蒼井さんも見送りに来てた。良かったね。
・ぎゃっ!私服の彰(というか山P)がかっこいいいい!!しかしまさか、この時点では先の展開は予想もできず…。
・そして転校初日の修二(網五高等学校=アミーゴ高校!)。なんと、「この世の全てはゲームだ。」と、一話と同じナレーション。うわー、こいつったら、また同じ事繰り返そうとしてるんだよ!ここで一回ちゃぶ台ひっくり返された。が、しかし…。
・「げ、幻覚…?」いや、ほんとに修二がおかしくなったのかと思ったよ。ってかさー!この時の彰、メガネかけてるのにアップになる瞬間はずしちゃうのが惜しい!もっとじっくり見たかった。でもその後の、「コンコン!」やる表情がすっごくかっこよくで、思わずキャプって携帯待ち受けにしてしまいました。
・「ヤマザキとウミガメがヤバい」って…何?とりあえず、この学校では彰はちゃんとクラスに溶け込んでいるよう。そして修二の自己プロデュース作戦は脆くも崩れ…。彰を送ったのが信子の差し金だという事は、信子による修二の逆プロデュースってわけか。彰がいなきゃ、あなたまた同じ失敗繰り返すでしょ?って?修二はいつも彰に調子狂わされるのだ。
・すっかりまり子と仲良しの信子。「私、笑えるようになったよ!」と二人に報告しようと屋上に走るが、「そうか、もういないんだった…。」と空を見上げる。例え離れていても、三人の友情は不滅です!信子にはまり子や蒼井もいるし、という救いもあるね。
・最後の海辺でアハハウフフ…は、まあボーナストラックみたいなもんですかね、って事で。あの辺は完全に二人のアドリブでしょうね。最後にガクランまで見られて、ほんとにごちそうさまでした。

うわ、ダラダラ書いてたら凄い長さになっちゃった。読みにくくてすいません。「すいか」ファンとしては、木皿泉脚本で河野Pという「待ってました!」という組み合わせだったにも関わらず、原作付の学園モノ、そしてジャニーズドラマって事で、正直最初は「あまり期待しない方がいいかもなー」という感じでした。しかし三回目くらいから、木皿さんらしさが前面に出てきて、そっからはもう「すいか」の時と同じように、毎回じわーっと温かくなったり、胸がキュンとなったり、せつなさで苦しくなったりの連続で。原作はもっと殺伐としているようですが、ドラマ版は凄く救いのある話になっていて、また大好きなドラマが一つ増えました。学園ドラマにありがちな「純粋な生徒と汚い大人の対決」ではなく、あくまでも「大人から子供への温かいエール」という芯が一本通っていて、大人の私が見ても、考えさせられる事がたくさんありました。

脚本演出はもちろん、役者の好演も大きいですよね。顔すら認識してなかった亀梨君ですが、まず初回でその繊細な演技に驚き。「調子よく振る舞ってるけど、裏の顔は醒めてて実は寂しい」なんて複雑な役を、よく表現してたよねえ。そして山Pの彰は、初回はあまりの素っ頓狂っぷりに引きまくり、「これ止めてくれないとリタイアしちゃうかも…」ってぐらい嫌だったんですが、二話から突然好転、そっからは毎回毎回萌えまくりで大変でした。特に「野ブタを俺だけのものにしたい。」はヤバかった。彰のキャラは、ほとんど山Pがアドリブで作り上げたもののようですが、これ大正解でしたね。修二と信子は一応原作からいるけど、彰が入って三人になった時のバランスが、ほんとに絶妙でした。ドラマ成功の大きな要因だと思う。そして信子の堀北真希ちゃん。ほんとは美少女なのに、暗くてオドオドした「野ブタ」もハマってて。頑固で融通きかないんだけど、そこがかわいい!って人気者になっちゃうとこ、凄くよくわかる。彼女は演技派ですよー。その他、もちろんまり子やキャサリンや横山やおいちゃん、修二のパパと弟、忘れちゃいけないデルフィーヌなど、周りのキャストも皆大好きでした。また一話から見直したいな。きっと違う感じ方ができるはず。DVD買うぞー!

−−−
で、すいません、最後にちょっとお詫びを。先週アップした後、「すいか」のネタバレを書かないで欲しかった、というメールを頂きました。確かに「是非見て下さい!」とか言っておきながら、内容をあれこれ書いちゃうのは矛盾してますね。ごめんなさい。でも「ネタバレ」というのは、恐らく教授の女生徒が云々、というところだと思うのですが、「すいか」ではそのエピソードは、「野ブタ」の蒼井さんのような、ドラマ全体の中での重要な事件では全然ないです。途中のある回の一エピソードっていうだけで。もちろん知らずに見るのに越した事はないかもしれませんが、それを知ってしまったら見る楽しみがなくなる、というようなものではないと思いますので、安心して「すいか」を見て下さい。でも一言「内容に触れてます」って断れば良かったですね。ほんとに無神経でした。ごめんなさい。ちなみに「すいか」放送時のレビューはこちらです。