「氷点」ドラマの感想編

もう何年(何十年?)前だか忘れてしまいましたが、原作にかなりハマった事があったので、このドラマは(手越様抜きにしても)楽しみにしてました。同じテレ朝で「氷点2001」という連ドラもあったんですけど、こっちは舞台を現代に置き換えていて、ちょっと別物というか…、まあある意味楽しんで見てはいたんですが。今まで何回も映像化されている作品ですが、大抵陽子役を若い女優さんが演じるのが目玉になるので、ほとんどは中・高〜自殺未遂までが中心だったと思うんですよね。子供時代と自殺未遂後(「続・氷点」部分)にこれだけ時間を割いたのは、珍しいんじゃないでしょうか。まあ正直第2夜はちょっと消化不良な出来でしたけど、「続」は原作自体かっとび過ぎなので、そのチャレンジ精神は買おうかなと。全体的には予想以上に良かったと思います。流石に時間もお金もかけただけあって、ありがちな昼ドラとかドロドロ系ドラマとはレベルが違ってたかと。北海道ロケをふんだんに取り入れてるのも贅沢だったし、セットや小道具、衣装やヘアメイクがいい仕事してました。

でね、特に第1夜大健闘だと思ったのが飯島直子!夏枝は箱入りお嬢様なので、見る前は「ミスキャストすぎる!」って思ってたんだけど、これが凄く良くてびっくり。着物も似合ってたし、太いアイラインにこってりマスカラで、メイクもあの時代の流行な感じ。で、さとみちゃんにバトンタッチしてからは、まあ顔は相変わらず若々しいんだけど、ヘアスタイルにボリュームを出す事で、老け感を上手く出してたなあと。ドラマで60年代の話やっても、それっぽい服を着るだけで、髪型は現代のままだったりするじゃない?でもあのこんもりヘアーはリアリティあって良かった。さとみちゃんの黒髪ストレートも、シャギーとか入れずにパッツンと直線カットしてあって、かなり感心して見てました。セーターやワンピースもかわいかったし、良く似合ってた。若者陣の役者達がどうも…と言われてそうですけど、演技はさておき、皆昭和っぽさには違和感なかったな。で、話を戻して飯島直子ですけど、見た目だけでなく、「〜ですのよ。」みたいな言葉遣いも、かなりしっくり馴染んでたのが驚きました。これね、意外と難しいのよ。さとみちゃんはちょっと危なっかしかったかな。陽子を睨む時の「能面の顔」も、怖くて美しかったわー。

ストーリー的にはやっぱり第2夜は、登場人物も多いし展開早すぎて焦点がぼけちゃったかな、と。原作未読の人にとっては、何より「なんでお兄ちゃんじゃなくて北原なのよ!」ってとこが納得行かないですよねえ?あれ、原作だと、達哉が無理矢理陽子を連れ出そうとして、止めに入った北原を自動車で轢いちゃって片足切断、なんですよ。自分の弟のせいで…って事で、こっちの方がまだ納得できると思うんだけど、地震になったのはスポンサーに車メーカーがいたからだろうなあ。あと原作では啓造が九死に一生を得る「洞爺丸の沈没事故」っていうのがあるんだけど、それと一緒にしちゃったって感じ。でも原作でも、陽子が徹を選んだ直後に、北原が事故に遭っちゃって、読んでてかなりやりきれなかったな…。徹だってその場にいれば、陽子の為に手でも足でも差し出すだろうにね。

昔読んだ時は、若かったくせに陽子には全然感情移入できなかったなあ。ご立派すぎるんだもん。私が一番シンパシー感じてたのが、啓造。この人ほんと臆病で姑息で、ダメ人間なんだよね…。ドラマのイメージで、夏枝は「鬼母」の代名詞みたいに言われてるけど、原作読むと根は優しいし、結構かわいい人なんですよ。夏枝の常に自分がチヤホヤされてたいとことか、陽子に対して女として嫉妬しちゃうとことか、子供っぽくワガママなとこなんかも、あまりに完璧すぎる陽子なんかより、人間臭くてちょっと共感しちゃったり。順子(佐石の娘)と友達になっちゃう辺りは、流石にやりすぎかなとは思うけど、人間関係の複雑な入り組み方が、ほんとに良く出来たお話だと思います。原作面白いんで、機会があったら是非読んでみて下さい。ドラマでいまいちわかりづらかったところも、よくわかるんじゃないかな。

って、全然「彼」の事に触れてないですよね。ちょっと長くなりそうだったんで、別エントリに分けました。「氷点」ただひたすらに萌えてみよう編にどうぞ。