根本敬「夜間中学―トリコじかけの世の中を生き抜くためのニュー・テキスト」

最近(てもう遅いか)酒井順子「負け犬の遠吠え」が話題になってますね。定義的にはもろ「負け犬」な私ですが、多分それ読んで「私って負け犬だったのね!」とか、「私は負け犬なんかじゃないわ!」とか、「勝ち犬目指して頑張ろう!」などと今更感じる事はないと思われたので、本屋で平積みになってるのを、「でも読んだ方がいいのだろうか…。」と横目で見ながらも通過。そして根本敬の新刊、「夜間中学」が出てるのを発見し、迷わず即買いするのでした。うーむ、まさにこれこそ負け犬…って、酒井順子の言う「負け犬」は、根本敬なんか読まないのか?失礼しやした。

んで「夜間中学」なんですが、こないだの「電気菩薩」(現在発売停止だそうで)なんかに比べると、挿し絵や写真が少ない事もあり、かなりライトで初心者にもお勧め。今までの本とダブってるネタがほとんどなく、結構新鮮に読めました。中学生の頃重度のビートルズオタクになったものの、友達の前では一切ビートルズが好きだというそぶりを見せなかったとか、根本さんなりの「究極のパンク」を考えた結果、二十歳過ぎてたのきんトリオに夢中になっていたとか、初めて知りました。「人とは違う事をやってやろう」ってのは、若い頃には誰でも考える事ですが、普通は「よりかっこよく」なって差をつけようとするものを、この人は逆に、「よりかっこ悪く」なろうとする。まあ最近はガチガチのオシャレより、敢えて「はずし」を入れた方がかっこいい、という風潮ですが、根本さんの場合は、そんなナンパな次元じゃないよね。

あ、そうそう、一番面白かったのは、霜田恵美子さんの小学校の同級生が、芦川よしみだったって話ね(文中では仮名になっておりますが)。お嬢様で美人で性格の悪かった芦川よしみは、子分のいじめられっ子達を呼び出しては、相手も自分も素っ裸にして、「身体検査」と称するおしおきをしていたのだとか。凄い小学生だなあ…。大人になってからも、やっぱりそういう性癖は残ってるんでしょうかね?ハイサワーのCMを見る目が変わりそう…。