#7「女を泣かす男」

先週はラストの彰にやられ、そのままの萌え体制で臨んだ今週、もちろんところどころで萌えはしたんですけど、もう、せつなくてそれどころじゃないっつーの!!見てる時は涙こそ出なかったけど(そう、涙が出るかどうかって実は作品の善し悪しとは関係ない)、その後ずーっと胸がもやもやしちゃって、ゆうべはなかなか眠れませんでした。色んな人の「あきらめる」「あきらめない」という言葉が、さまざまな形で出てくるのはいつものパターンだけども、ビデオ編集でああやってまとめて見せちゃうっていうのは新しいね。わかりやすく提示してみましたって感じなのかな。そして印象的だったのが、修二の「嘘をつくのは苦しいよ。」と、まり子の「私このままじゃ苦しいよ。」という言葉。「すいか」で刑事から逃げる馬場ちゃんの、「ハヤカワ、苦しいよ。」というセリフを思い出してしまいました。とにかく若者達が皆せつなかった今回、一人ずつ思い返してみたよ。

<まり子の「せつない」>
まり子はずっと前から、修二が自分を好きじゃないっていうのは薄々気づいてたんだよね。で、信子の番組を見ている修二の笑顔が、自分が今まで見たこともない自然さだったってのが、決定打になっちゃったんだと思う。このままそっとしておけば、修二との仲は今まで通りだってわかっていても、苦しくて耐えられなかった。恋愛って相手より思いが強くなりすぎると負けなのよね…。でも「私、どっちかというとあきらめないタイプなのよね。」と言っていたし、今後の修二を助けてやって欲しいなあ。

<信子の「せつない」>
先週までは、信子は修二の事が好きなのか?っていうのがよくわからなかったんだけども、今週はもうあからさまでしたね。まあ第三者的に見ると、修二より彰の方がずっと優しいじゃない!って思うけど、恐らく柳の木を二人乗りで追いかけた時から、信子はもう修二に惚れてたんだろうなあ。信子が最初に見た修二は、クラスの人気者じゃなく、素の修二だったんだもんね。まり子もそうだけど、修二を好きだからこそよく見ていて、本人以上に彼の事がわかっちゃうのね。「きっと、周りの人をものすごく、大事にする人なんだね。そのために嘘ついたり、すごい我慢したりしているのが、これ見ているとよくわかる。」なるほどねえ。「嫌われたくないから誰にでもいい顔する」っていうのは、裏を返せば、「人が好き」って事なのか。こういう解釈も、木皿さんの優しさ感じるな。でも彼女自身、今週も途中までは、自分の気持ちに無自覚だったんじゃないかな。修二を思わず抱きしめてしまった後、初めて自分の恋心に気づいてしまったという感じ。さすがに彰の気持ちも伝わってるだろうし、彼女が今後どう出るのか、不安でもあり楽しみでもあります。

<彰の「せつない」>
初めて人を好きになって、ストレートにその感情を出す彰。なのに信子は彰じゃなく、修二の方ばかり見てる。修二を必死に引き留める信子を見つめる彰、修二のビデオを目を輝かせて見る信子を見つめる彰、修二の好きなものは人なんだ、と熱く語る信子を見つめる彰…せつない。まあ、ものすごく簡単に言うと「片思い」ってやつなんですけど、だからって修二を恨んだりしないのが彰のいいところだよね。それどころか、信子を傷つけてしまった自分には、好きになる資格なんてない、諦める、だなんて。お、男らしい…。修二に向かって言った、「俺、三人でいる時の野ブタが一番好き。大好き。」、そして校内放送の野ブタの読んでいる本が好きだ。野ブタの歩いている道が好きだ。野ブタがいる屋上が好きだ。野ブタのいるところは全部好きだ。大好きだ。」はキューンとなったなあ。あんなにせつない「お嫁においで」は初めて聞いたよ。冒頭で「一番したい事は結婚。」って言ってたのが、こんな伏線になってたのね。ボロボロになったビデオをつなぎ合わせてみたけど、一度壊れたものは元通りにならないんだ、と納得したような、彰のきっぱりとした表情が印象的でした。そしてラグランTとマルチボーダーのマフラーと横顔の綺麗さに萌えました…。

<修二の「せつない」>
彰の恋がきっかけで、プロデュースを中止する事にした三人。しかしこの居場所を一番必要としていたのは、実は修二だった。自分の恋愛感情の赴くまま、制御不能になってる姿がむしろ清々しい彰や、今や何も飾らず、素のままで「人気者」となってしまった信子を見て、自分に嘘をつき続ける事が、苦しくてしょうがなくなってしまったのね。なんかもう、彰や野ブタといる事も隠さなくなってるし、つきまとわれてあんなに嫌がってたのに、自ら彰の家に言って「コン」ってやったり、「彰」って呼んでるのも初めて聞いた気がする。特にまり子の事は、彰の信子に対する真剣さに、かなり影響を受けたんじゃないかな。まり子が初めて聞いた修二の「本音」が、あれだったってのはほんとせつないよね。言われたまり子もつらいけど、言った修二も相当傷付いたろうに。「今後も好きになる可能性はない」なんて、確かに容赦なさすぎだけど、私は凄く勇気ある一言だったと思う。そして夜の公園で信子が去った後、「野ブタに笑って何か言ってやらないと、野ブタが気にすんじゃんか!」って、どこまで気ぃ使いなんだ、この子は!最後のナレーション、「野ブタに抱きしめられて、初めてわかった。」ってとこで、まさか「俺は野ブタが好きだ。」って言うんじゃないでしょうね!それは安易でちょっとやだ!と思ったら、「俺は…寂しい人間だ。」と来て、これには後頭部ガーン!と殴られた気分でした。木皿さん、最高のドラマをありがとうございます。今回いいセリフが目白押しだったけど、何ヶ所か聞き取りづらいところがあったのは残念。でも亀梨君、野ブタに抱きしめられてる時の表情とか、絶品でしたね。

どうやら来週から、ずっとこのドラマの底に流れていた「いやな予感」が、現実になってしまいそうで。打たれ弱そうな修二がとても心配。そして彰、信子、まり子は修二に対してどういう態度に出てくるのか、正直予想がつかないです。もちろんあまり暗くならないストーリーを期待しますけどね。色んな試練に立ち向かってる修二達、もう一人ずつ抱きしめてあげたいくらいなんだけど、私は彼らがまだ若いって事が、見てて凄く救いになってるなあ。信子も「私達、次行かなきゃ。」と言っていた通り、大丈夫、まだまだ未来はこれからだよって言ってあげたい。いやがらせの犯人は、やっぱりあの子しかいないよね。一瞬信子の別人格?とか思ったけど、髪長いしソックスが黒いから違うかなと。